2021年度第17回デジタルコンテンツ・コンテスト

動画部門・入選 No Rain, No Rainbow

2021年度第17回デジタルコンテンツ・コンテスト
氏名  研究科・学部  専攻・学科  学年 
原 亜由 国際文化学部 国際文化学科

4

  • 使用ソフト
    FlipaClip、ibisPaint、iMovie 
  • 開発・制作・動作環境等
    iPad 
  • 使用素材
    音楽:iMovie

作品要旨

廃線の危機を地元の支援やアートプロジェクトによって乗り越えた茨城県の湊線をモデルにしたアニメーション作品である。廃線の危機も、コロナ禍のような辛い時期もいつかは乗り越えられることを示している。

作品解説

高校1・2年と今年のゼミ活動で関わってきた茨城県の地域活性化プロジェクト「みなとメディアミュージアム」が、コロナ禍で制作困難になったことがきっかけで作った作品である。湊線は2008年頃から利用者減少のため、廃線の危機に陥っていた。しかし、利用者からの支援やアートプロジェクトによる地域活性化のお陰で危機を脱し、2014年には新駅を開業するまでになった。これを踏まえ、湊線が辛い時期を乗り越えていく様子を作品にし、コロナ禍の辛い時期もいつかは乗り越えられることを表現したいと考えた。作品は湊線が利用者の減少や経営困難で立ち行かなくなっていく所から周りから支援で活気付いていく過程を、鳥や天候の変化で表現している。最初は電車の側には多くの鳥がいるが、雨雲が近づくと去っていってしまう。雨の中でも電車は走り続け、雨が弱まって来た所で鳥が助けに戻り、電車を綺麗にしてくれる。「電車」はどんな時でも進み続けねばならない我々の人生を、「渡鳥」は近づいたり離れたりする人間を、「天候の変化」は良いことも悪いことも起こることを象徴している。鳥や雲の微細な動きの変化、明暗の違いなどで自然で滑らかな動きを作り出した。

デジタル技術の使用箇所・方法

まず背景にある空と電車の絵は、イラストレーターの「ibisPaint 」で制作した。田舎の電車の雰囲気を出すために、絵の上からオレンジをオーバーレイでかけたり、雲の動きに合わせて徐々に暗い色を上からのせるなども行った。雲・雨・波・鳥・花・電車の光・地面の泥はアニメーション制作ソフトの「FlipaClip 」を使用した。無料版のため、レイヤー3枚を電車と地面、雲と雨、鳥と花に分けて描いた。ペンの種類も4つしかないため、透明度とタッチで、鳥と雲など異なる質感を出させた。一コマ一コマ動きの変化をつけすぎずに描くことで、滑らかな動きを出させた。全体で507コマ、42秒の動画を作成した。その後、制作したアニメーションを動画編集ソフト「iMovie」取り込み、長さの調整と音入れを行った。晴れの部分と雨の部分の速さを調節し、「明るい未来が開ける」ことを表現するために晴れの部分まで暗めのフィルターをかけた。特に大雨の部分はフィルターを濃くすることで、フィルターのかかっていない所との差異が目立ちすぎないようにしてある。雨の部分には雨のサウンドエフェクトをかけ、大雨の部分はさらに雨と雷のエフェクトを追加して強弱をつけた。最後の締めくくりの映像は「ibisPaint 」を使い、絵を消して裏に書いてある字を浮かび上がらせたり、字を書く様子を画面収録することで、最後までアニメーションの雰囲気を保たせた。