氏名 | 研究科・学部 | 専攻・学科 | 学年 |
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立川 駿 | 情報科学部 | ディジタルメディア学科 | 1 |
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本作品はフルCGのモーショングラフィックス作品です。「コロナ渦で落ち込んだ世界に日本から光を広げる」というテーマのもと、国内や海外のランタン祭りを参考に和を基調とした作品に仕上げました。
作品タイトル「灯 -TOMOSHIBI-」の通り、この作品はランタンを主としたモーショングラフィックス作品です。冒頭の灯という字の点灯に続きランタンの灯が段々とついていくシーンでは、要旨にも書いたように光が広がっていく様子を表現しました。やがて光が広がりイントロが終わると、たくさんのランタンが水面の上を漂っている映像に切り替わります。そこでは日本の和を表現するための和室と、その周りをたくさんランタンが飛んでいる幻想的な空間を表現しました。また、「光はやがて消えてしまうものでもある。」それを表現するためにアウトロではランタンの火が順に消えていきます。しかし、光は消えてももう一度灯すことができるということを暗示的に表現するため、作品の最後のシーンがイントロにつながるように構成しました。また、本作品はモーショングラフィックスであり、カメラのモーションにイージングを多用し、加えてCGが霞まない程度に図形やテキストに動きを付けました。
和室やランタンはBlenderを用いてすべて自分でモデリングしました。特にガラス障子や水面の反射、ランタンが光を透過する設定はテクスチャのノードの値を調整し、時間をかけてモデリングしています。Blenderではレンダラーでデノイズをかけ、またコンポジターで光が拡散するようにグレアを入れています。また、カメラのモーションもBlenderで付けました。画面全体の色調補正やモーションブラーをAfterEffectsでかけ、最後にテキストや図形のモーション、音合わせをAviUtlで行っています。
当該作品の表現コンセプトにある「光が広がっていく様子」の表現がコンセプトとよく一致している。制作目的とその成果を一致させることは難しいことで、多くのプロトタイプから良い結果が導き出されたのではないかと思う。また、灯のうつくしい光のゆらめき、浮遊感、上昇感、空間への拡散・収束等の動きが美しく表現され、作品全体が作り出す世界観と相まった静寂な表現は秀逸である。表現全体の完成度が非常に高いものと評価した。