2019年度第15回デジタルコンテンツ・コンテスト

動画部門・準優秀賞 Endless Journey

2019年度第15回デジタルコンテンツ・コンテスト
氏名  研究科・学部  専攻・学科  学年 
正木 里桜 社会学部 メディア社会学科 4
  • 使用ソフト
    Maya/Adobe after effects/substance painter/Houdini/
    Adobe Premiere Pro/Photoshop/Adobe illustrator
  • 開発・制作・動作環境等
    Mac OS
  • 使用素材
    音楽:クラシック名曲サウンドライブラリー

 

作品要旨

子供の頃はどんなに安っぽいオモチャでも頭の中では本物だったと思います。たとえ小さな船を浮かべるだけでも想像の中では大航海になる。この想像による果てしない旅を大人になっても忘れなければ世界の可能性は広がるのではないかという想いとこの旅が多くの人にとって他に財産になっていて欲しいという願いからこの作品を作りました。

作品解説

どこにでもいる普通の男の子は自分の部屋から世界へ簡単に旅に出る。この場面では、イギリスの田舎に住む海賊に憧れる男の子をイメージして宝の地図や箪笥の引き出しに描かれた落書きなど細かいところまで部屋の内装にこだわりました。オモチャの船が少年の手によって川に流されいつの間にか立派な海賊船になる。この場面では川の場面では比較的現実的であったライティングを海賊船が出てきた場面では非現実的に想定することによって異空間や違和感を与えられるよう工夫しました。海賊船の上をどんどん奥に進む描写は宝箱に近づく緊張感を表し、またそこにたどり着くまでに割れたガラスの間を通るのはより一層緊張感を与えるための演出です。音楽とともに進む部屋には中心に置かれた宝箱があります。ここのライティングは観客が自然と宝箱に集中できるように考え、宝箱の開く仕組みは心が絆される感覚と、そこに真相があることを見透かされているような瞳の形を採用しました。ラストの男の子のシーンは冒頭に書いたように現実的なライティングを心がけましたが、現実の中でもよりドラマチックな夕方のライティングを行い作品のラストにふさわしい演出を行いました。ラストの「Let's go where you want to go!」はこの果てしない創造の旅により広がる世界の可能性を用いて「君の行きたいところに行こう!」という意味で表示しました。作品要旨でも述べた通りこの作品がこの創造による果てしない旅を思い出せるきっかけに少しでもなればいいなと思います。

デジタル技術の使用箇所・方法

作品全編をMayaでモデリングし、海の描写のみHoudiniでプロシージャル生成しました。モデルのテクスチャはSubstance Painterを主に用い、地図などはPhotoshop&illusutratorを用い作成しました。また、コンポジットはAfter effectsを用い、最終編集、書き出しはPremiere proを使用しました。MayaでのレンダリングはArnoldを使用し髪毛の表現はX-genを用いました。

講評

少年のおもちゃの船を川に流すと、いつしか船は大海原に漕ぎ出す。そして船内の宝箱を覗くと再び少年の元に戻る壮大なストーリーだ。1分ほどの短いCGアニメだが、少年の夢を見事に描き出している。CGの質感や躍動感とBGMもマッチしており違和感はない。もう少しストーリーがあってもいい気もするが、シンプルでわかりやすいメッセージだからこそ心に残る作品に仕上がったと言えるだろう。