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卒業生インタビュー:株式会社マーケットエンタープライズ プラットフォームチームマネージャー兼 株式会社UMM 取締役 伊藤 香純さん

  • 2022年06月15日
  • 卒業生
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プロフィール

伊藤 香純(Ito Kasumi)さん

1993年福島県生まれ。2012年キャリアデザイン学部に入学。2016年卒業後、株式会社マーケットエンタープライズに入社。1年目に同社の新人賞「Rookie of the Year」を獲得。2020年4月、グループ会社である株式会社UMMの取締役に就任。

中古農機のリユースビジネスを拡大し、農家、会社、社会に貢献したい

入社1年目に中古農機の買い取りという新規事業を立ち上げ、5年目には新会社の取締役に就任するなど、輝かしいキャリアを歩んでいる伊藤香純さん。ビジネスのさまざまなシーンで、大学時代にインプットした知識や、仲間とグループワークをした経験が役立っていると言います。

入社1年目で立ち上げた事業が会社の柱の一つに成長

インターネット上の中古農機の買い取り・販売プラットフォームを運営するUMMの取締役を務めています。この事業は、入社1年目に私が立ち上げた中古農機の買い取りからスタートしたものです。中古農機の市場には将来性がある、売買の橋渡しとなるプラットフォームは持続可能な社会を実現するビジネスになると思いました。実家が農家なので、農機が相棒のような存在だと知っていましたし、ものづくりの苦労を知っているだけに、捨てずに再利用したいという思いもありました。

1トンを超えるような農機を、どのように運搬し、どこに保管するかが最初の課題でした。農機の知識はほぼゼロでしたが、他企業と提携をしたり、自ら買い取りに出向いて生の情報やノウハウを蓄積したりして、仕組みやマニュアルを作り上げていきました。

買い取り事業のスタート後は、販売という壁が立ちはだかりました。オークションは出品料や保管料がかさみますし、試行錯誤を繰り返しながら、販売プラットフォームも開発しました。販売先の農家の方の声を聞きながら、販売価格に転嫁される点検や修理をどの程度にすべきかなど、ブラッシュアップをしています。その結果、中古農機の売上は年間2億5000万円を超え、会社の一つの柱に成長しました。まだ達成感には至っていませんが、入社前からやりたかった新規事業に挑戦し、軌道に乗せられたのはうれしいです。

失敗やミスをしたときは、寝ている間に頭をリセットし、翌日に持ち越さないのが伊藤さんのルール

失敗やミスをしたときは、寝ている間に頭をリセットし、翌日に持ち越さないのが伊藤さんのルール

キャリアデザイン学部の濃密な4年間

高校時代、ブログで美容やダイエットなどの情報を発信し、かなり大きな反響を得ていたため、将来はメディアやウェブ関連の仕事をしたいという漠然とした方向性を思い描いていました。キャリアデザイン学部に入学したのは、自分の将来や職業についてじっくり考えたいと思ったからです。

学部の授業には、企業での長期インターンシップとその準備・フォローがセットになった「キャリア体験学習」があり、私は2年次に制作会社でアルバイト雑誌の編集を体験しました。また、教室外から遠隔で授業に参加するなど、時代の変化を先取りして何でもチャレンジしてみる田中研之輔教授の授業がとても印象的でした。

授業も課題もグループで取り組むものが多く、実践を通じてチームワークの楽しさや意義を見いだせたことは、今とても役立っています。また、授業でインプットしていたマーケティングや経営に関する知識が仕事と「リンクした」と感じる場面もあります。

就職活動では、幅広く仕事をやらせてもらえそうなベンチャーや中小企業を受けました。面接を重ねていくうちに、私にとっては、仕事の内容以上に一緒に働く人が大切だと考えるようになり、毎回面接の最後に丁寧なフィードバックをしてくださったマーケットエンタープライズを選びました。

切磋琢磨したキャリアデザイン学部の同級生(ボアソナード・タワー地下1階のフォレストガーデンにて。前列右から2人目が伊藤さん)

切磋琢磨したキャリアデザイン学部の同級生(ボアソナード・タワー地下1階のフォレストガーデンにて。前列右から2人目が伊藤さん)

チャンスをつかむために常に自分の2歩先を見る

新規事業に限らず、ビジネスには新しい知識のインプットが欠かせません。社会人になってからも常に勉強や情報収集をしていますが、目の前の業務に関するものだけでなく、先輩より上の上司、つまり自分の2歩先にいる人が求める知識やスキルを先取りすることを意識しています。上司が新しいことに着手するとき、それに貢献できる可能性が高くなるからです。

しかし、スキルやアイデアがあっても、自分だけで実現できることには限界があります。周囲と力を合わせてアウトプット力を高める。そこに仕事の面白さがあると感じています。

中古農機事業はその後分社化され、入社5年目で新会社の取締役を任されました。裁量や権限が広がった分、責任も重くなりましたが、権限と責任はセットで与えられるものと考えているので、むしろモチベーションを高める要素となっています。

 

社会に出て気付いた自分の中の実践知

ネット型リユースの基盤となるプラットフォームには、社会やユーザーの声に合わせた対応が求められます。進化論を唱えたダーウィンが「生き残れるのは、強いものや賢いものではなく、変化できるもの」と言ったように、世界や環境などあらゆるところに目を向け、柔軟に変化しながら事業を拡大して社会に貢献したいと考えています。

今の私の土台となっているものは、大学時代に培われたといっても過言ではありません。法政大学は、考える力や行動する力を身に付けるのにまたとない場です。ぜひその環境を存分に活用し、迷ったときは友人や先生、キャリアセンター、卒業生など強力な法政ネットワークを利用してください。

今の目標は、農機具売買のプラットフォームを世界へ拡大することと、ビジネスで活躍したいと思う女性を増やすために本社の役員に就くこと。どちらも数年以内に実現させたいです。

 

(初出:広報誌『法政』2022年4月号)