【講演概要】近世日本は身分制社会であり、武士が民衆を支配した。江戸の町奉行所は種々の法令(町触)を触れて町人に命令、上意下達方式により支配を達成し、「請書」(法令厳守の誓約書)を提出させた(専制政治)。しかし、時代の推移のなかで、インフラの整備―公衆トイレやごみ処分などの問題—については、住民への諮問によって民意を政治に反映させようとしていた。江戸では不衛生なトイレ事情や立小便などの横行もあって、都市衛生に深刻な打撃を与えていたが、公衆トイレ設置に対する諮問を通じて反対意見を把握したうえで、町奉行所はその設置が都市住民の食料調達や農業経営上必要な下肥の確保に貢献することを説得し、都市インフラの整備を推進していた。
【講演概要】2008年に人間環境学部に入学し、永野ゼミ、長谷川ゼミ、シーゲンターラーゼミに所属し、教職課程や語学に注力した。卒業後は岩谷産業株式会社に就職し、現在はPwCコンサルティング合同会社に勤務している。人間環境学部は、「サステナブルな社会の実現」を目的として幅広い領域の学問に触れる機会がある学部であり、また、多様なインプット・アウトプットを通じた高い質の学びが得られる学部であった。今後も人間環境学部で学んだこと、得たものを活かし、社会で貢献できるよう努力したいと思う。
【講演概要】肥大化する人間活動によって、地球上のあらゆる場所で様々な問題が生じている。21世紀の四半世紀が過ぎた今日、豊かさや、健やかな世界の根源的意味を問い直したうえでの、思い切った発想転換が求められている。本報告では、持続可能な社会を実現する一つの方法として、「循環社会」をデザインし、新たな価値創造へとつながる学びと実践について議論したい。具体的には19世紀の米国でヒューマン・エコロジーを提唱したエレン・S・リチャーズの思想と実践を再評価し、生活と経験に根差した教育と研究の可能性について考察する。