本研究科博士後期課程に在学中の大森楓河さんが第106回日本細菌学会関東支部総会で若手優秀発表賞を受賞しました。
コレラ菌は外界の水生環境とヒト腸内という大きく異なる環境で生存するため、さまざまな環境応答系を備えています。たとえば、この菌は外界のさまざまな栄養源に対して近づく、走化性という性質を示します。この研究で大森さんたちは、ピルビン酸という物質に着目しました。菌が腸に定着する際に、ピルビン酸の利用が重要という報告があるからです。大森さんたちは、一連の実験によって、コレラ菌がピルビン酸を感知するための走化性センサータンパク質を発見し、ピルビン酸感知メカニズムについて解析しました。
コレラは世界中で毎年100万以上がかかる感染症です。その病原菌であるコレラ菌の走化性は、病原性と密接に関係しています。この菌は30種以上の走化性センサーをもちますが、ほとんどの機能は不明です。それを解明することは、菌が環境中やヒトの体内で生きていくための戦略やヒトに感染する際のメカニズムを理解するうえで重要と考えられます。
・受賞者
大森 楓河(生命機能学専攻生命機能学領域博士後期課程1年)
・学会名
第106回日本細菌学会関東支部総会
・開催日
2023年10月29日
・開催場所
日本大学松戸歯学部
・受賞日
2023年10月29日
・受賞名
若手優秀発表賞
・受賞論文名
コレラ菌ピルビン酸走性受容体Mlp2のリガンド認識機構