QRコード開発中は何度も壁に直面したものの、さまざまなアイデアで乗り越えた原さん。最初の課題は、インクのにじみなどでコードが正確に読み取れないこと。解決のヒントになったのは、幼い頃から親しんできた囲碁。囲碁では周囲の碁石の色や位置関係で碁石の置き場所を認識できればよく、碁石が欠けていたり、盤目の中で多少位置がずれていたりしても問題ありません。「コードもあえて白黒の境界線を曖昧にし、まずはざっくり情報を読み込ませたうえで微調整して再認識させればいいのでは?」と考えて試したところ、見事に成功。開発に没頭すると視野が狭くなりがちなので、あえて違う視点で物事を見ることが大切だと語ります。
QRコードがここまで世の中に広く浸透した理由を原さんに尋ねたところ、ライセンスフリーにしたことが良かったとのこと。「どんなにいい技術でも、多くの人に使ってもらえなければ意味がない。多くの人々に使っていただけている現状をうれしく思っています」と原さんは語ります。
(掲載先:広報誌「HOSEI」2023年8・9月号)
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