2023年11月11日に、第48回法政大学院まちづくり都市政
第48回は、前年の基調講演(田中優子法政大学名誉教授(前総長
以下、基調対談、2つの分科会、大学院生や学部生がそれぞれの研
第48回法政大学大学院まちづくり都市政策セミナー運営委員会
まちづくりとソーシャルイノベーションとの関係性を捉えるべく、今年度は基調対談の形を取って、ゲストには、2004年に本学文学部を卒業後、「猿田彦珈琲」を創業された大塚朝之さんをお迎えしました。大塚さんのご厚意で、開会前には猿田彦珈琲のスタッフの皆さんから、ホットコーヒーをご用意頂き、そこで使った豆の話をきっかけに、コーヒーの品質と流通量の順列を示すコーヒーピラミッドのことや、大塚さんのコーヒー豆の産地との関わり方、猿田彦珈琲創業に至る紆余曲折のプロセスについて、お話頂きました。その後、人間社会研究科の土肥将敦先生との対談を通して、様々な話題が展開しましたが、「おいしいコーヒーを通して世の中を幸せにしたい」という猿田彦珈琲が目指す「本質」の部分と、資本主義社会の中で、会社を経営し、利益を出し持続させる「お金」の部分とのバランスをどう取っていくのか、という点に議論が集約されていきました。大塚さんからは、「猿田彦珈琲も、純粋なプライドこそがオリジナリティを生み、唯一無二の価値を産み出せる。まずはその原点を大事にする。まちづくりも同じではないか」というメッセージを投げかけて頂きました。
ポスターセッションは、基調講演のあと昼休み時間に外濠校舎1階メディアラウンジで開催しました。2学部、1研究科から10編の発表が行われ、会場には60人近い人たちが集まりました。まずは概要を3分ずつ発表し、その後は各ポスター前に待機し、会場にいるギャラリーと個別にディスカッションを行いました。
法政の卒業生イノベーターとして、まず、現代福祉学部OGの小笠原舞さんから、縁の出来た神戸市長田区で展開する、様々な世代や国籍の人たちがごちゃ混ぜになったまちぐるみの子育ての場と、それを各地に広げる実践を報告頂きました。続いて、社会学部OBの大森英一郎さんからは、ランニング向けのアプリ開発を通して、人生を豊かに楽しくする場づくりを目指す取り組みを報告頂きました。その後、多摩キャンパスに今年度開設された「法政大学ソーシャル・イノベーションセンター(SIC)」の活動報告を学生スタッフの山下友梨子さんから、また、学生の挑戦と起業を応援し、SICの立ち上げ支援にも関わるNPO法人ETIC.の田中多恵さんから学内の動きを紹介頂きました。総合討論には、基調対談ゲストの大塚朝之さんも急遽加わって、賑やかに議論が交わされました。全体としては、ソーシャルイノベーションとして、既存の概念を壊しながらも、新しい価値を生み出し、広げていく上で地道な時間軸を必要とする点や、そのコミュニティづくりも、楽しみを共有できる小さなところから始められる点が共有されました。
本分科会は、デジタル書籍やネット通販が隆盛の時代に、新しく本屋をはじめ、紙の本を売り買いする人たちが増えていることに注目して企画されました。当日は5人のパネリストをお呼びして、本屋をはじめた経緯や現在の活動についてお話しいただきました。奥山恵さん(ハックルベリーブックス)と所英明さん(本まっち柏)からは、柏市の一箱古本市について、直井薫子さん(CHICACU Bookstore)からは、さいたま市のシェア本棚について、原山聡矢さん(books 電線の鳥)からは、松本市のご自宅を古本屋にしたこと及び同市の本屋について、中村竹夫さん(道草書店)からは、真鶴町に移住してはじめた本屋について、ご紹介いただきました。5つの報告に共通するのは、本を売り買いすることがイベント性をもち、人々の交流の時間・場所が生まれていることでした。フロアとの質疑応答では、デジタル書籍に対する紙の本の優位性は何かといった質問が飛び出し、パネリストたちから熱い回答を引き出しました。
法政大学 大学院事務部大学院課
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