お知らせ

研究室紹介:情報科学部コンピュータ科学科コンピュータ基礎分野基盤ソフトウェア研究室(日高宗一郎教授研究室)

  • 2021年09月21日
お知らせ

「双方向変換」などのコンピュータシステムの基盤を支える技術を探究

コンピュータの基礎分野の研究に携わる日高宗一郎教授研究室。研究室の名称である「基盤ソフトウェア」は、ソフトウェアを作る土台となるものです。処理速度やトラブルへの対処で常に改良が求められる領域で、研究室では専門機能に特化した改良を中心に探求しています。

「主にプログラミング言語と、データの同期などで使われる『双方向変換』の技術の研究を手掛けています」と研究概要を紹介してくれたのは仲野さん。双方向変換とは、情報管理に欠かせない操作の一つで、二つ以上の情報源の間で、変換を介して一貫性を維持しながら、双方向に更新を伝播できるようにする仕組みです。「一方のデータに更新を加えたときに、自動的に情報を伝播して更新する仕組みを『同期』といいます。双方向変換の技術は、この同期に影響してくるので、より機能的にできる方法を掘り下げて研究してみたい」と、研究の種を育てています。

4年次の研究活動は、卒業研究に向けて、自分が個別に取り組むテーマを模索するところから始まります。「研究テーマが絞り込みやすくなるように、春学期に、自分が興味のある分野に近い論文を選んで読み解き、その要点をまとめてプレゼンテーション形式で紹介する論文発表会を実施しています」と語るのは、アルバイトで子どもたちにプログラミングを教えている荒井さん。「今はキーボード入力のできない子ども向けに、ブロックを組み立てるような感覚でプログラミングを学べる教材があります。そうしたプログラミング教育について、探究してみたいと思っています」と意欲を語ります。

データベース処理技術に興味があるという内木さんは、ブロックチェーンに着目。「ブロックチェーンとは、データの改ざんに強く、金融取引のシステムなどで用いられている仕組みの一つです。双方向変換の技術をブロックチェーンに活用できないか、検討しています」と研究を具体化する準備を始めています。「将来的に、社会の課題解決に少しでも役立てるように、実践的な技術を磨いていきたい」と未来を見据えて語ります。

コロナ禍ということもあり、研究室の交流はビデオ会議ツールやメッセージツールなども活用。家に居ながらでも、頻繁にコメントを交わし合うことで、コミュニケーションを補っています。そうした学生を温かく見守りながら、日高教授は「必要な情報を探し、その信頼性を判断する、自身が納得しながら物事を解決できる力を身に付けてほしい」と語ります。

(初出:広報誌『法政』2021年 6・7月号)

※今回はオンラインで取材しています。

  • 上段左から、日高宗一郎教授、仲野祐希さん、下段左から、荒井紫花さん、内木悠天さん ※全員、情報科学部コンピュータ科学科4年

  • 2021年度の日高研究室の在籍学生は大学院生も含め、9人。コロナ禍でもそれぞれが工夫しながら研究に励んでいる

  • データの双方向変換において、偏りなく公平に更新が伝わる仕組みを図示化したもの(2020年度に卒業した土生さんの卒論より)

  • 2018年に開催した冬合宿の一枚。合宿は定例ではなく、時期や内容も含めて、学生の希望と状況に応じて実施している