お知らせ

【2024年度(第8回)「自由を生き抜く実践知大賞】自由な学風の継承賞「年刊文芸誌『法政文芸』の企画・編集・発行」紹介

  • 2025年03月07日
お知らせ

受賞名

自由な学風の継承賞

受賞取組

年刊文芸誌『法政文芸』の企画・編集・発行

実践主体

法政大学国文学会(文学部日本文学科)

取り組み内容

『法政文芸』は、日本文学科の学会組織法政大学国文学会が2005年に創刊した、年刊の文芸誌である。日本文学科文芸コース学生の優秀卒業制作の発表舞台とすることを中心に、毎号学生編集委員の企画・編集によって、その年を象徴する文化・文学事象を取り上げて特集を組み、関係各書店で販売する他、毎年文学フリマに出店して、社会への発信を行っている。
第2号より日本文学科教員3名が持ち回りで編集を務め、学部学生を募って編集委員体制を取るようになり、24年には20号を迎えるに至った。現在は日本文学科学生委員会の一組織として、授業やゼミの枠組みを超えた編集委員会として活動している。
特集のテーマは学生編集委員の合議によって決定され、テーマに相応しい著名人を選定、インタビューや対談を企画・実施し、さらに複数人にエッセイや評論を依頼、校正や編集を行っている。20号では記念号として編集に携わった卒業生と現役編集委員による座談会を実施し、継承と今後の展望について確認しあった。
また創刊20号の特別展示を、2024年9月3日から28日まで、博物館展示室において、日本文学科創設100周年企画展示と併せて開催した。

実施しての感想

20年の歩みの中で、学生編集委員の成長には目を見張るものがあった。最初の数年は編集担当の教員を中心に企画会議などを行っていたが、2010年(第6号)の頃から、学生が主体となって特集ページを企画、編集する形が完成した。担当教員は学生編集委員と定期的に連絡を取り合い、時には社会的公正等の面から適宜アドバイスをすることはあるが、そうした事例は稀である。前編集委員からの引継によって、編集のノウハウが継承されている。
特集企画を決定する際には、委員各自が持ち寄った企画案をプレゼンし、合議によって時代に相応しいテーマを決める。その後、インタビューしたい著名人やエッセイや評論を頼みたい文化人を出し合い、本人に連絡を取って依頼し、スケジュールを組んで実施し、文字起こしや構成、エッセイや評論の校正など、雑誌編集の実践的な業務をすべて学生自らが行っている。
自分たちで自由に企画立案し、ゴールを定めてチームとして協力して雑誌刊行というプロジェクトを完遂する、これはまさに実践知と言い得る活動であり、ここでの経験がマスコミ系に就職した者のみならず、職場のさまざまな場面で活かされていると語る卒業生は多い。

総長からの選定理由コメント

著名な作家や批評家を多数擁する法政大学文学部日本文学科が、レベルの高い雑誌を発行できていることは当たり前のように感じられるかも知れない。しかし、この雑誌の特長は現役学生が編集に携わっていることにある。入学と卒業があり4年で入れ替わっていく学生が、4年というサイクルの中で年々引き継ぎながら、毎年新鮮な発想や視点を持ち込んで特集を組み立てて行く。そんな学生の作業を教員が見まもりながら、完成した雑誌をともに文学フリマに出展して読者に届けに行く。その繰り返しがこの雑誌のキャラクターとなり、学科の学風を形成するに至っていることを賞したい。

受賞の感想

選んでいただきありがとうございました。今思うと、総長が言ってくださったように、学生たちが毎年毎年こんな特集をやるんだという驚くようなものを持ってきて、実現してくれて、それで続けて来られました。そういうわけで卒業した学生たちも含めての受賞だと思って、ありがたく思っています。特に文学は自由ということをとても大事にしていますので、それもやはり法政という場でできたことなのかなとありがたく思っております。どうもありがとうございました。