持続可能な社会への貢献賞
お茶を通じた耕作放棄地改善の取り組み
たまぼら佐野川プロジェクト
たまぼら佐野川プロジェクトは、神奈川県相模原市緑区佐野川地域で耕作放棄地の改善、地域の景観保全を目標に活動しているプロジェクトです。佐野川地域は高齢化・過疎化の影響で耕作放棄地が多くあり、美しい里山の景観が失われつつあります。私達は約10年前から佐野川地域おこしの会と協力し、耕作放棄地だった茶畑を再生し、地域の景観保全に努めてきました。しかし活動を進めていく中で、コロナ禍・物価上昇の影響で整備にかかる費用が上昇し、法政大学からの補助金だけでは活動が難しくなりました。そこで、茶畑で収穫したお茶を商品化して販売を行い、その販売収入を茶畑整備費用として充てることとしました。株式会社茶來未さんの協力もあり、香り豊かで程よい渋みが特徴の「佐野川学生茶」という商品を作ることができました。販売は文化祭などの学内イベントや多摩キャンパス周辺地域の神奈川県相模原市緑区若葉台住宅や東京都八王子市館ヶ丘団地で行い、昨年度は206袋を売り上げました。今年も無事にお茶を収穫したので、多くの方にお茶を飲んでいただけるような販売活動と、佐野川地域の景観を保ち続けるよう茶畑の整備活動を続けていきます。
実施して感じたことは「共感」の大切さです。実際に、お茶を商品化するとなったときに地域の農家さんから不安だという意見をいただきました。色んな方と話し合い、私達が「なぜ商品化したいか」ということを丁寧に説明したことで、最終的に商品化プロジェクトに共感していただきました。また、商品の販売に際しても、1袋100g1000円という決して安くない値段で売っているのですが、耕作放棄地を生まないために商品を作って販売しているというストーリーに共感していただき、おかげで多くの方に購入していただきました。こうしたことから、佐野川プロジェクトが10年の歴史を紡いできたのは、多くの方に「共感」していただき、ご支援をいただけたおかげだと実感しています。周りの方々への感謝を忘れずに、耕作放棄地の改善に向けて、「共感」を大事にしながら活動を進めていきます。
多摩キャンパスが隣接する神奈川県相模原市。その市内にある佐野川地区は、近年急速な人口減少と耕作放棄地の拡大という状況下にある。この地区の茶畑を学生たちの手で再生し、収穫された茶葉を製品化して販売し、茶畑再生のための資金を獲得している取り組み。自分たちの生み出すものに価値が認められ、好んで受け入れられることは、やり甲斐とプライドの源泉となる。この取り組みは、耕作放棄地の改善という物理的な成果を超えて、この地域から生み出される佐野川学生茶が売上げを伸ばし、多くの人の飲用に供されることを通して、地域のプライドの再生を成し遂げつつあるのではないだろうか。
「持続可能な社会への貢献賞」を受賞いたしまして、まずはこの実践知大賞を準備された方々や、佐野川地域の方々に、心より感謝申し上げます。ありがとうございます。我々の活動は10年続けてきたもので、先輩方、佐野川地域の方々、その他多くの大学の関係者の方々の支えがなければ、この賞をいただくことはできなかったと思っております。これからも先人たちへの感謝を忘れずに、課題解決に向けた取り組みを一歩一歩進めていきたいと思っております。ありがとうございました。