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【2023年度(第7回)自由を生き抜く実践知大賞】社会の課題解決賞「残反プロジェクト」紹介

  • 2024年02月16日
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受賞名

社会の課題解決賞

受賞取組

残反プロジェクト

実践主体

人間環境学部 金藤正直研究会アパレルチーム

取り組み内容

環境省の調査(2020)では、日本で使用後に手放される衣類の75.1万tのうち49.6万tが廃棄され、その多くが国内外で再販され、その後売れ残ったものは焼却・埋め立てられている。こうした業界の現状を打開するためにも、昨年度より、金藤研究会アパレルチームと㈱メルローズが連携し、残反を活用した衣類の制作・販売事業である「残反プロジェクト」が開始された。残反とは、衣類の生産過程において使用されなかった良質の生地であり、その多くは倉庫で保管されたり、最終的には廃棄・焼却処分されている。そこで、残反プロジェクトでは、メルローズ社から発生する残反を有効活用した洋服を制作し、「Makuake」で販売する企画を立ち上げた。アパレルチームは、マーケティング手法を活用した多面的な分析を行い、その結果をもとにメルローズ社との数回に渡る打ち合わせで、販売におけるコンセプトやデザイン等について検討を重ねていった。その後サンプルが制作され、それが昨年のエコプロに出展された。そして、出展時での来訪者からの意見も踏まえてデザイン等が再検討され、今年8月に「Makuake」での販売が開始され、同月末に目標金額も達成した。

実施しての感想

残反プロジェクトは、社会に残反の認知度を高め、また残反を新たな価値ある素材であることを明らかにすることにより、中・長期的に国内外の衣類の廃棄量を減少させる、という目標を達成するために始まった。しかし、こうしたプロジェクトへの参加は、アパレルチームとしても初めてであったことから、最初は教員やメルローズ社と一緒に、プロジェクトとして現在取り組むべき方向性とともに、残反選びから、洋服のデザインやその販売等について何度も検討を行い、その結果「Makuake」での販売という方向性が決定した。その後は教員はあまり介入せず、チームメンバーが中心となってマーケティング分析、エコプロでのサンプル出展、「Makuake」での打ち合わせや販売ページ作成等を行っていたが、ゼミでの打ち合わせの様子を見ると、限られた時間の中で社会人との検討やタスクをこなすことに大変苦労していたと思われる。今回良い結果に繋がったのは、プロジェクト関係者や大学関係者の支援とともに、メンバー全員がこうした苦労を乗り越えたためであると言える。今後もこのプロジェクトを継続して上記目標を達成し、新たな経済システムを構築してもらいたい。

総長からの選定理由コメント

経済活動の過程で発生する廃棄物は、地球上の限られた資源を無駄にして、環境負荷を高めてしまう。しかし、その実態は認識しやすいものだけではなく、まだまだ社会に認知されていないものが残されている。衣類の生産過程の上流で生じる残反(ざんたん)という課題はそのひとつである。これは、今まであまり取り組まれてこなかったこの課題に正面から取り組んだ活動である。この課題に対する社会の認知度を高めるとともに、残反を新たな価値ある素材として活用することによって、実体的な解決を図ることにつなげている。残反を、無駄なく活用して魅力的な衣類へと仕上げていくアイディアと行動力が光る実践知だ。

受賞の感想

このような賞をいただき、嬉しく思います。ありがとうございます。私たちとしても企業と共同してモノを作って販売するということは初めての取り組みだったので、なかなか難しい部分も多かったのですが、取り組みを進めていく中で新たな発見もできましたし、またアパレル業界の中に新しい考え方を構築することもできたと思っているので良い機会であったと思っています。私たちの取り組みに対して、このような賞をいただけたことも嬉しく思いますし、この経験をもとにこれからも研究に精進していきたいと思います。このたびは誠にありがとうございました。