お知らせ

【2022年度(第6回)自由を生き抜く実践知大賞】自立した市民賞「三者協議会」紹介

  • 2023年02月24日
  • イベント・行事
お知らせ

受賞名

自立した市民賞

受賞取組

三者協議会

実践主体

法政大学高等学校生徒会執行部

概要・成果

【1】経緯

法政大学中学高等学校では,2021年度6年ぶりに三者協議会を再開した。三者協議会とは生徒、教職員、保護者の三者が対等な立場で話し合い学校づくりを考える場である。本校の設置目的は次の3点であり、2010年度の生徒会執行部が作成したものを引き継いだ。

  1. 三者が協力してより良い学校づくりを目指す。
  2. 三者が平等に意見を主張し、相互理解を深める。
  3. 三者が挙げられた意見をもとに、より良い学校づくりに取り組む。

生徒会執行部では、2015年度より携帯電話のルールについて話し合いを始め、第3回三者協議会(2016年2月実施)でも議題となり、先生方と何度も話し合いを行った。さらに、2020度から執行部で話し合いが活発化し、2021度は全校生徒に対してアンケートを実施、さらにクラス討議を行って生徒側の意見を集約し、改正案が提示された。
2021年度いまの私たちの学校生活の現状について、携帯電話のルールなどが、ルールがあるのにないような状況であるというように分析し、この状況を変えたいという考えを、生徒・先生に理解してもらいたいと考えた。
このような状況になっているのは、生徒自身の当事者意識がないのが原因であり、当事者意識がない理由は、自分たちでつくったルールでないからだと考えた。このような状況を改善し、自分たちでルールをつくっていくためには、生徒と先生、保護者が平等に話し合える場を設ける必要があると考え、「携帯電話の使用ルール」を三者協議会の議題とした。
生徒自身が自分事としてルールについて考えることにより、ルールを守ることができるのではないか、現在の携帯電話(スマホ)は学校生活において有効活用できるもので時代に合った根拠や合理性のあるルールを作る必要があるのではないか、この問題に対して生徒みんなで考えることは法政の掲げる自主自律の精神を養う機会となりうるのではないか、と考えた。そして先生方にも共通認識を持ってほしい、「罰則」によって管理し取り締まるのではなく、生徒の自主自律を導く役割であってほしいという声が上がった。

【2】2021年度11月実施の三者協議会

主な論点は生徒の意識改革と法政高校の教育の精神「自主自律」であった。話し合いの結果、次の3点が確認された。

  1. 生徒の意識改革をどのようにしていくか引き続き考える。特に全体化が課題。
  2. 自主自律(=自分事として各人がルールを守る)を継続して検討する。
  3. 原案の表記が曖昧な点を明確にし、生徒全体で共通認識をもって運用できるようにする。

保護者の方々からも多面的な意見が出された。家庭でのモラル教育の不足への反省、自分の頭で考え意見を言い自身で気づき理解し合うことが有効だという意見、発達段階に応じた制限の必要性などである。保護者目線の意見は私達にも参考になった。
なお、この議論を引き継ぎ、2022年度の三者協議会は「SNSを扱う上でのリスク対策~SNSの利用に関するルールを校則に加えるべきか?~」をテーマに、11月12日(土)に実施した。今後もこの取り組みを継承していきたい。

総長からの選定理由コメント

法政高校では、生徒・教職員・保護者が対等な立場で校則などの学校環境について話し合う場である三者協議会が2014年度より開催されてきたが、その後いったん途絶えていた。コロナ禍のもとにおいてその意義があらためて見直され、2021年に再開され、2022年度も継続して開催された。スマホルールのあり方と、それに伴う写真やSNSの使い方についての論点や、制服についてのルール改正などが取りあげられている。学校を構成する三者それぞれが主体として学校のルールのあり方について議論し、論点の理解を深め、それを前提としてルールを改定していくことにつながっている。それは、生徒もルールの客体ではなく、学校という社会のあり方をつくっていく主体なのだということを、経験を通して体感し、主体性を実体化していく活動だといえる。法政大学憲章がめざす「自立した市民」を育てる取り組みだ。

受賞の感想

この度、「自由を生き抜く実践知大賞」の「自立した市民賞」に選出していただきました。私たち生徒会執行部はこの一年間、携帯電話の規定改正に取り組み、それに伴い三者協議会の開催に向けて、多くの準備を行ってきました。こうした取り組みを評価していただいたことを、とても光栄に思います。
三者協議会は、私たち生徒会執行部、つまり生徒の自主的な意思により開催されたものであります。また三者協議会には生徒の主体的な行動を促すという、本校の教育の精神である「自主自律」にも適した意義を持っています。この三者協議会の開催は、そういった生徒の主体性をより育むということを目的としています。
しかし学校生活は、私たち生徒だけではなく、必ず教職員・保護者の支えがあってこそ成り立っているものです。今回の「自立した市民賞」の受賞にも、多くの方の支えがあることを忘れてはいけないと、改めて実感しました。
法政高校では今後も、三者協議会という取り組み、また生徒が主体となる活動を継続してほしいと思います。

法政大学高等学校生徒会執行部
3年 吉岡 駿