お知らせ

「ダイバーシティ推進シンポジウム【性の多様性と大学】」(教職員対象)を開催しました

  • 2022年03月18日
  • イベント・行事
お知らせ

2022年3月8日(火)、法政大学ダイバーシティ推進委員会は、本学教職員を対象に、中京大学 教養教育研究院 風間孝教授をお招きして、ダイバーシティ推進シンポジウム「性の多様性と大学~性的少数者の学生・教職員が大学で経験する困難とその対応について~」を開催しました(参加者:合計77名)。

冒頭の開会の挨拶では、本学副学長・常務理事(ダイバーシティ推進等担当)のダイアナ・コー(グローバル教養学部教授)が、本学におけるダイバーシティ推進のこれまでの歩みと、今後の本学が目指すべき方向性について説明しました。

続いて、風間教授にご講演をいただきました。風間教授は、性的少数者の学生・教職員が大学の中でどのような困難に直面しているかを示された上で、全国の大学における取り組み状況を踏まえて、性的少数者の学生・教職員に良好な就学・就労環境を保障するためのガイドラインの必要性などについて、次のように、お話されました。

風間教授は、まず、昨今、性自認を尊重されてきた人が大学に入学するようになってきていること、他大学で生じたアウティング事件(性的少数者であることが他者によって暴露された事件)、2016年の障害者差別解消法施行などについて紹介され、社会的にも障がい学生の「合理的配慮」の一環として「性同一性障害」をもつ学生への支援が進んできていることを指摘されました。その一方で、アメリカでは、性同一性障がいが、「障がい」としてではなく「性別不合」として取り扱かわれるようになってきており、日本よりも発展した取り組みがなされていることについてお話下さいました。

次に、国内では、2020年のいわゆるパワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)施行にともない性的指向や性自認に関するハラスメントもパワハラ類型として定義され、同年11月には文科省通知にて、各大学でパワハラ防止を就業規則で定めることが求められ、また、学生にも教職員と同様のパワハラ防止方針を提示することが望ましいとされたことなどについて紹介して下さいました。

また、社会的にもこれまで以上に性的少数者が認知されるようになってきており、大学内外でも取り組みが広がっている中で、性的少数者に特有の課題やニーズがあることについても、詳しくご説明下さいました。

ご講演の後半では、風間教授の研究チームが2020年に行った、LGBT等の学生への配慮等についての全国大学施策調査(アンケート)の結果が紹介されました。それによると、アンケートに回答した大学の4割がLGBT等の学生に配慮を実施しているものの、LGBT等に関するガイドラインを作成している大学はその1割5分にとどまっています。風間教授は、その理由の一つが、学生からの要望に個別に対応している大学が多いことにあると述べられました。

また、風間教授の研究チームが国内の大学に所属する専任教員を対象として2021年に実施した全国大学教員調査(アンケート)についても紹介がなされました。風間教授は、データをもとに、ガイドラインの必要性や各大学での取り組みについてお話下さいました。

ご講演終了後、質疑応答が行われました。風間教授は、寄せられた質問に、一つずつ丁寧にお答えくださいました。

最後に、本学ダイバーシティ推進委員会委員長の武石惠美子(キャリアデザイン学部教授)より、閉会の挨拶が行われ、シンポジウムは終了しました。

風間教授からは、今後、学生・教職員が安心して就学・就労ができる環境づくりに大学が取り組むべきことや大学としての姿勢を適切に示すことの重要性などについて重要なメッセージをいただきました。

シンポジウムを通して、ダイバーシティ推進は、全学で取り組むべき課題であることが多くの教職員に改めて認識されたと思います。

法政大学は、今後もダイバーシティ推進に向けて、様々な取り組みを行って参ります。