お知らせ

【2019年度自由を生き抜く実践知大賞】大賞「法政大学植物医科学センター」紹介

  • 2020年03月13日
  • イベント・行事
お知らせ

受賞名

大賞

受賞取組

法政大学植物医科学センター

実践主体

生命科学部

活動概要・成果

概要:植物医科学センターは、植物の病気・虫害・生理障害及び植物育成地の自然環境保全・修復等に関する検査・診断・研究、それらに関する助言・情報の提供を行う機関として、2014年度に当学科内に創設され、活発に活動を展開している。
成果(2014年6月~2019年3月):この5年間で、研究協定9件、委託・寄付研究18件の研究診断契約が締結された。また、樹木病害やダニ類の診断同定依頼を中心に、142件の診断依頼があった。技術研修は17回開催され、のべ525名以上が参加した。また、47回の出前講座・講義を行い、のべ2,170名以上の参加者に対して植物医科学の講義・講演を行った。さらに、近年ではカリフォルニア大学リバーサイド校等の国際的に著名な研究者を招聘して学外の学生も交えた公開セミナーを企画し、教育や研究の成果を社会に発信している。

総長からの選定理由コメント

世界で生産される農作物のうち、約3割は病気によって失われているという。都市緑化や植物工場における栽培によって、新たな病気も発生しているということだ。植物医科学センターの活動は、食料問題と環境問題を組み合わせた「社会の課題解決」の組織だと言えよう。植物の研究はともすると、経済発展のために、遺伝子組み替えや農薬、化学肥料依存による増産に向かいがちである。しかし植物医科学センターは病を治すという、植物の側に立った選択をし、生態系を出来るだけ損なわずに人間の飢餓を回避する方向に向かっている。青梅地域の梅の木に伝染している病気を突き止め、植木関係者や高校生への研修をおこない、診断方法をサイトで公開して誰もが使えるようにしている。まさにこれは、持続可能性という理想に向かう実践知そのものであろう。

受賞の感想

この度、法政大学植物医科学センターの活動を「自由を生き抜く実践知大賞」に選出して頂き、誠にありがとうございます。本センターの活動は、持続可能な社会を脅かす「植物病」に対して、生命科学部、応用植物科学科の「研究知(基礎力)」を「実践知(応用力)」に変換して、社会に遍く還元するものです。医学分野で例えると、医科大学における附属病院に相当するものです。残念ながら、世界的に見ても本センターのような機能を持つ組織は少ないようです。
本賞受賞での感想として、なにより嬉しかったことは、大賞に選出された瞬間、診断・同定に携わり、初ボワソナードタワーからの眺めに目を丸くしていた学生たちの頬がバラ色に染まり、喜びに満ちたことです。この歓喜は、講義などでは体験できない、貴重な財産となったと信じています。
「実践知」とは、理想の社会を見据えて、自分の場で何ができるかを思考し、行動することです。引き続き、関係者の皆様からの温かいご支援を頂き、「一隅を照らす」事業を継続してまいります。

法政大学植物医科学センター長 石川 成寿