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【自由を生き抜く実践知大賞】特別賞・進取の気象賞 「医療・福祉ロボット開発/理工学部機械工学科 石井千春教授」紹介

  • 2018年03月19日
  • イベント・行事
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ノミネート理由・活動概要

日本の少子高齢化への対応策の一つとして、医療・福祉分野でのロボットによる新たな産業革命の実現は政府の「日本再興戦略」の中でもうたわれています。

石井教授の研究室では単孔式腹腔鏡下手術支援ロボットの研究開発をしています。医師の遠隔操作により体に小さく開けた穴から器具を入れて治療する、いわゆる内視鏡手術の支援ロボットで、既に米国企業が開発した手術支援ロボット「ダ・ヴィンチ」をはじめ、腹部に3~5つ穴を開ける多孔式の導入が世界中で進められていますが、石井教授の開発される「単孔式」は穴の数を更に減らし、へそ1つで行うというもので、これまで以上に整容性が高く、患者の負担や合併症のリスク低減を期待されています。

腹腔鏡下手術ロボットは医師側と患者側の2つの装置からなるマスター・スレーブ型と呼ばれる方式で、石井教授の研究室では手術を行う患者側のスレーブロボットの開発を行っています。特に力覚フィードバック機能を付加させた単孔式腹腔鏡下手術支援ロボットの開発は斬新なアイデアです。力覚とは五感のうち触覚に相当する感覚情報で、上下、左右、前後からの弾力を6軸力覚センサーで測定し、医師側に力覚を再現する仕組みです。

総長からの選定理由コメント

ロボット技術の応用範囲は国家戦略として軍事や人々の生活支援まで広いですが、本開発は医療・福祉の分野において、人間の命にかかわる手術の支援のために開発されたもので極めて高く評価できます。

今後ロボット技術を誰のために、どのような方向に向けるべきかを考える指針となり、実践知のもつ倫理性に叶います。

受賞者のコメント

第1回「自由を生き抜く実践知大賞」において、特別賞をいただきまして大変光栄に感じております。表彰式の際にも申し上げましたが、本賞を受賞するに至りまして多くの方々にご支援をいただきました。まずは、本学ワークショップの橋本先生、伊勢崎先生の匠の技なしには、対象となりました手術支援ロボットを製作することができませんでした。

また、本研究室で大学院修士課程まで本ロボットの設計・開発に従事してくれた山岡氏、前田氏をはじめとする卒業生の皆さん、本ロボットの機構について助言いただきましたTHK株式会社のエンジニアの下土氏、本ロボットを用いた評価実験に協力いただきました北海道大学医学研究院の川村先生、本プロジェクトならびに「自由を生き抜く実践知大賞」の選考に関連されたすべての教職員の皆様に対して御礼申し上げます。

今後も当研究室では現場の実際の問題に対する解決型研究教育を進めていきたいと考えております。

理工学部機械工学科 石井 千春

受賞後、卒業生と祝杯をあげました