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卒業生インタビュー:一般社団法人立川アスレティックFC代表理事兼立川アスレティックFC選手 皆本 晃さん

  • 2022年11月04日
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プロフィール

皆本 晃(Minamoto Akira)さん

1987年千葉県生まれ。2009年工学部都市環境デザイン工学科を卒業。在学中から府中アスレティックFCに所属し、2009年からFリーグでプレー。2012~ 2013年スペインのリーグでプレー。2021年FIFAワールドカップ リトアニアに出場。2022年3月一般社団法人立川アスレティックFCの代表理事に就任。

スポーツを通じて、暮らしに彩りをまちに活気を与えたい

フットサルのFリーグで15年にわたって活躍し、日本代表としてFIFAフットサルワールドカップにも出場した皆本晃さん。2022年からクラブの経営にも携わるようになり、かつての夢や学生時代の学びが今につながっているのを感じていると言います。

選手兼経営者として新たなスタートを切る

フットサルクラブの立川アスレティックFCで、平日の午前中は選手として練習をして、午後はクラブの代表理事として営業活動や管理業務をこなし、週末は試合に出場するという「二刀流」の日々を送っています。

きっかけは、アリーナの規格変更があって本拠地を移し、クラブの運営も新法人へ移管したことでした。将来は運営側にと考えていたので、代表理事への就任に迷いはありませんでしたが、それを機に引退するかどうかは相当悩みました。最終的に現役続行を決断したのは、代表理事が選手を兼任すれば、話題にも差別化にもなり、経営上プラスになると判断したからです。

代表理事としてまず着手したのは、「やること」ではなく「やらないこと」の仕分けでした。遠征では、前日に現地入りするのが理想的ですが、場所や試合時間によっては当日入りでもそれほど支障はない。そんな選手目線での判断や慣例の見直しは、二刀流の私だからできることだと感じています。

「チームに必要とされている間は現役を続ける」という皆本さん

「チームに必要とされている間は現役を続ける」という皆本さん

まちづくりに携わりたい公務員を目指して進学

高校生の時に、将来はまちづくりに携われたらいいなという思いがありました。そこで、都市整備などを学んで公務員になろうと考えて、法政大学工学部(当時)に進学したのです。

大学で学ぶからには、何か一つのことにじっくり取り組みたいと思い、自分の興味というよりは、厳しい指導を受けられそうという理由で、溝渕利明教授のコンクリートを研究するゼミに入りました。砂・水・セメントをさまざまな配合で混ぜてコンクリート塊を作り、異なる環境に放置し、数日後にそれを壊して強度を分析するという毎日でした。

今、運営の方向性を探るときに、Aの次にBと全くやり方を変えるのではなく、Aのここを少し変える、次はあそこを変えてみるというアプローチを取れるのは、ゼミで論理的思考が身に付いたおかげかもしれません。

また、大学入学と同時に、当時工学部があった小金井キャンパスに近い府中アスレティックFC(現在のクラブの前身)に入りました。高校まではサッカーをプレーしていましたが、コートが狭く、人数の少ないフットサルの方が自分に向いていると感じたからです。

その予感は的中し、同級生が就職活動をする頃にはフットサル選手になると決めていました。ちょうどFリーグが誕生した頃でしたが、思い描いていたのはその先の日本代表、そしてスペインのトップリーグです。

2011年、スペイン1部リーグのプエルトジャーノFSに移籍。写真は入団会見の様子

2011年、スペイン1部リーグのプエルトジャーノFSに移籍。写真は入団会見の様子

スポーツでまちを盛り上げるロールモデルはスペイン

卒業後3年目にスペイン行きを敢行し、2年間スペインのリーグでプレーしました。娯楽のほとんどない、地方の小さな町で、フットサルの応援が人々の生活の一部になっているのを目の当たりにして、「こういう町っていいな」と心の底から思ったのです。

それが原体験となり、Fリーグに復帰してからは、選手としてプレーするだけでなく、フットサルを知ってもらう、試合を見に来てもらうための話題づくりも意識するようになりました。

そしてクラブの経営を担うようになった今、スペインのロールモデルの実現に本格的に取り組んでいます。子どもがフットサル選手を夢見る、大人は応援を通じて仲間が増え、週末が楽しみに。そんなふうにクラブが人々の暮らしに彩りを添える存在となり、応援する人の輪が広がってまち全体が盛り上がっていく。そして、クラブに関わる人が増えれば、選手のセカンドキャリアの選択肢も広がる。そう信じて、まずは地元にクラブの存在を浸透させるため、種まきに奔走しています。

もちろん、不安もあります。苦しいとき、自信がなくなったときは、「なぜそれをやるのか」と自問自答しています。「まちやフットサルを盛り上げたい」という信念は揺るがないと確認できれば、困難を乗り越えるしかないと踏みとどまれるからです。

自分が取り組んだことはどこかでつながっていく

大学で学んだことと全く関係のない道に進んだと思っていましたが、振り返ってみると、入学時の将来の夢やゼミの実験、スペインでの経験などあらゆることが今につながっています。

20代は先が見えず、迷うことも多いでしょう。そんな時は、目標に直結しているかどうかにとらわれず、目の前のことに一生懸命に取り組んでみてください。そのうち自分の中に根っこのようなものができて、それまでの経験をどこかで生かせるはずです。

私は、あと数年二刀流を続け、10年後には立川でプロスポーツクラブとしてのロールモデルを作り上げて、次のステップに進むつもりです。人生を懸けてきたフットサルを盛り上げられるなら、FリーグのCEOになるのも一つの選択肢ですし、別のまちでスポーツクラブを立ち上げるかもしれません。そのためにも、経営者としての実力を伸ばしていきたいです。

2022-23シーズンのホームゲーム:11月26日(土)、1月14日(土)、1月27日(金)
詳細は立川アスレティックFCのオフィシャルサイト(https://tachikawa-athletic.jp

 

(初出:広報誌『法政』2022年10月号)