お知らせ

地衣類中で放射性セシウムが保持される仕組みを明らかに ―環境中のセシウムの動態解明に寄与―

  • 2022年09月15日
お知らせ

法政大学(総長:廣瀬克哉)、日本原子力研究開発機構(理事長:小口正範)、国立科学博物館(館長:篠田謙一)の研究チームは、これまで謎とされていた「地衣類(藻類と共生する菌類の総称)」の生体組織内における2つの化学形態(イオン状・粒子状)の放射性セシウムの分布位置をマイクロスケールで特定することに世界で初めて成功しました。

【発表のポイント】

  • 地衣類とは、藻類と共生している菌類の総称です。これまでに地衣類は、放射性セシウムを長期間保持すると言われてきました。しかし、「どの部位」で、「どのような状態(化学形態)」で保持するのか分かっていませんでした。
  • 地衣類の生体組織を、切片作製装置を使って5 ㎛厚にスライスし、放射線に感光する特殊なフィルム(IP)による放射性セシウムの検出と、デジタル光学顕微鏡による組織観察を組み合わせることで、地衣類の生体組織内での放射性セシウムの分布する部位を、初めてマイクロスケールで特定しました。
  • さらに、分子シミュレーションや電子顕微鏡分析等から、化学形態の違いにおける放射性セシウムが保持される仕組みを次のように推定しました。イオン状であれば下部組織のメラニン様の色素成分への捕捉。粒子状であれば組織表面への埋没等の物理的な捕捉。
  • 今回確立したミクロな分布の測定手法や、推定した保持の仕組みは、キノコや山野草などの森林生態系における放射性セシウムの保持の仕組みや、環境中での放射性セシウムの動きに影響する化学形態の解明に役立つと考えられます。

本件に関するお問合せ先

(研究開発成果)
学校法人法政大学 情報メディア教育研究センター
准教授 数納広哉 Tel:042-387-6128 E-mail:hiroya.suno.73@hosei.ac.jp
(報道担当)
学校法人法政大学
総長室広報課 Tel:03-3264-9240 FAX:03-3264-9639 E-mail:pr@adm.hosei.ac.jp

(研究開発成果)
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 福島研究開発部門
廃炉環境国際共同研究センター 環境影響研究ディビジョン
技術主幹 土肥輝美  TEL:0247-61-2911  FAX:0247-61-3657
(報道担当)
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
福島研究開発部門 福島事業管理部 総務課
成田典智 TEL:024-524-1060   FAX:024-524-1069

(研究開発成果)
独立行政法人国立科学博物館
植物研究部 菌類・藻類研究グループ
グループ長 大村嘉人 Tel:029-853-8978 E-mail:ohmura-y@kahaku.go.jp
(報道担当)
独立行政法人国立科学博物館
経営管理部 研究推進・管理課 研究活動広報担当
田中庸照 Tel:029-853-8984 FAX:029-853-8998 E-mail:t-shuzai@kahaku.go.jp