足下の景気は拡大基調で求人倍率も高止まりし、人手不足の状況にあるが、2020年の東京オリンピック・パラリンピック以降は、景気後退が予想されている。また、AIの普及によって無くなる仕事が多数発生するという予測もあり、雇用の不安定さは増している。 そのため、雇用労働者にとって職業能力の開発はますます重要な課題になっている。少しでも高い能力を身につけておくことが雇用の安定につながり、収入の安定をもたらすからである。効果的な職業能力の開発方法を明らかにすることは喫緊の課題である。
職業能力は、日々の仕事を通して高まっていく。その際に重要な役割を果たしているのは管理職である。管理職の育成も大切な課題になっている。
雇用労働者にとって労働組合は、自分たちを守る味方になるはずの機関だが、組織率の低下傾向に歯止めがかからず、社会における存在感はますます希薄になっている。 本研究所は、雇用労働者の生活安定のために必要な職業能力の開発と労働組合の活性化を二つの研究領域として活動する。具体的には、以下の3つのテーマを設定する。
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管理職の育成
管理職になりたがらない若者が増えていると言われるが、その最大の理由は、管理職(特に課長)が魅力的な仕事に見えていないからである。管理職は、チャレンジングな仕事であり、喜びも多い。管理職の本来の役割を整理し、効果的な管理職育成プログラムを作成する。
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若年層の人材育成と就職支援
若年層の就職が難しくなって久しい。直近では人手不足から「売り手市場」と言われているが、景気の状況によっては、いつ何時、就職難に転換するかわからない。若年層の問題は、コミュニケーション能力の低さに起因していると考えられる。コミュニケーション能力を高める手法を開発するとともに、45年間の職業人生を生き抜いていけるだけの基礎的な能力を身につけるプログラムを研究する。
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労働組合活動活性化策の開発
存在感が薄れてきている労働組合をどうすれば活性化できるかを検討する。複数の労働組合との共同研究という形をとって活性化プログラムを開発し、セミナーという形で広く普及していく。
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