氏名 | 研究科・学部 | 専攻・学科 | 学年 |
---|---|---|---|
中越 瑞葉 | 国際文化学部 | 国際文化学科 | 2 |
|
この作品は、言葉と感情の境にあるノイズを表現した作品である。黄金比を用いることで画面に流れを出すと共に、「型に当てはめる」ことを実践した。また、宮沢賢治の心象スケッチ『春と修羅』の序文を引用し、イラストレーションに取り入れた。
言葉というのは、具象的な形を持たない感情を表象するための最も合理的な手段である。しかしながら、感情を言葉にして表したとき、その言葉自体が持つ意味の型に引っ張られて元の感情とはかけ離れた姿になり、込められていたはずの温度が置き去りになってしまうこともある。 しかし、言葉と感情の間にあるそのノイズでさえ愛おしく思うことができたら、 より深く、巧みに言葉を扱うことができるかもしれない。この作品はそういった「言葉」に対する自身の印象をイラストレーションで表象したものである。
髪や花などの動的な表現と図形や文字の静的な表現を組み合わせることにより、言葉すなわち記号と、感情という互いに相反する二つの性質が画面上で調和することを目指した。黄金比はフリー素材のものを上からなぞり、加算レイヤーと通常レイヤーを組み合わせることで、絵を邪魔することなく存在感を演出できるよう工夫した。
この作品は、iPadのProcreateというアプリを使用し、全てデジタルにて描画・着彩・加工を行った。線画にベタ塗りで着彩した後に乗算レイヤーでグラデーションをかけ、オーバーレイでノイズ加工を施した。テキストは宮沢賢治の『春と修羅』の「序」の部分を引用し、ソフトライトレイヤーにすることにより、色が暗い部分にだけ映るようにした。