氏名 | 研究科・学部 | 専攻・学科 | 学年 |
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望月 美結 | デザイン工学部 | システムデザイン学科 | 1 |
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忙しい毎日の中で、時には布団から出るのがつらい日もあるでしょう。まだ半分夢の中にいるのに枕元では容赦なく目覚まし時計が鳴り響きます。朝ごはんと時計にはさまれた、まだ起きたくない人を描きました。
この作品で表現したかったことは、ちょうど目覚まし時計の音が聞こえ始めたあたりの、夢から覚めかけているぼんやりふわふわした世界です。私は寝起きが本当に悪く、目覚ましの音を夢の中の騒音と勘違いして消してしまうことが良くあります。夢の中で明らかに現実的ではないことが起きても、目覚めてからでないとそれを夢だったと認識できないフワフワした状態を、人より大きなトマトや目玉焼きでできた大きなサンドイッチを布団に見立てる不自然な構図で表しました。サンドイッチはサイズが現実的でない一方、ディテールはリアルになるよう意識しています。より違和感を出すための手段には例えば色を変えたりなどがありますが、この目玉焼きやキュウリをサイケデリックな色にしてしまうと、見たときに一瞬何であるかがわからなくなり、夢要素が強くなりすぎてしまうと考えたからです。 背景色は、寝起きにはまぶしすぎる朝を表現したかったので鮮やかな黄色にしました。中心に来る野菜も彩度の高いトマトを選び、画面全体が強いビタミンカラーになるようにしています。 すべてのモチーフを書き終わった後に、最後に画面全体に色収差をかけ全体を虹色にブレたようにすることで全体をまとめました。
この作品はProcreateというイラスト作成ソフトで様々な種類のブラシを使って作成しています。素材を使ったのは時計の文字盤のみで、その他のものはすべて手で描きました。デジタル環境では、コピー&ペーストに加えて自由変形ができるのでトマト、きゅうり、レタスで活用しています。一つ描いたらそれをコピーし、左右反転やパース変形などでコピー元と同じにならないように変形、位置をずらしてペーストすることで短時間で複数作り出せます。また、トーンカーブというコントラストを調整できるツールがあり、グレー、白、黒のみで書いた水をシャボン玉の表面のような複雑な模様にするために使用しました。
この作品「あと5分だけ…!」は朝,夢から覚めかけているぼんやりとした世界を描いている.多数の要素を配置しながらも,夢の中,朝,まだ起きたくない気持ちを,うまく全体の構図にまとめているうえに色使いが良く,朝食であるサンドイッチが匂いまで伝わるかのように描かれていることで,起きてからの時間も想起され,作品世界の広がりも感じられる.現実と夢の狭間にいる人物の表情についても,より人間味のある表現を加えて行くことができれば,単なるツールとしての枠を超えてデジタルコンテンツの可能性をさらに深く探ることができるかもしれない.