2023年度第19回デジタルコンテンツ・コンテスト

静止画部門・入選 現代版 死の舞踏

2023年度第19回デジタルコンテンツ・コンテスト
氏名  研究科・学部  専攻・学科  学年 
田沢 茉彩 国際文化学部 国際文化学科 4
  • 使用ソフト
    ibisPaintX、Clip Studio Paint
  • 開発・制作・動作環境等
    iPad iOS17.0

作品要旨

突き抜けるように晴れ渡った青空の下で制服を着た学生とサラリーマンはこれから踊るところなのか、踊り終えたところなのか、表情の見えない骸骨姿からは想像する他ない。

作品解説

今作は中世ヨーロッパにおけるペストの流行と現代における感染症の流行や社会不安を重ね合わせ、現代風に解釈した死の舞踏として制作に至った。当時ペストが流行すると、人々はそれまで神話や観念的なものでしかなかった「死」を現実のものとして見つめるようになる。「メメント・モリ」の標語のもと「死はあらゆる階層、あらゆる年代、誰にでも訪れるもの」として、それらは風刺的に版画や戯曲に骸骨の姿で描かれるようになる。
 当時の死の舞踏はほとんどの作品において、人間姿の「生」と骸骨姿の「死」が別個体として描かれているが、今作ではあえて双方を融合させ上半身は骸骨、下半身は人間という人外的なキャラクターを描いている。「人間ひとりひとりに死が訪れる」のではなく、「人間ひとりひとりが死の可能性を内包している」という解釈を表現した。
 また、技術的な面では参考にした中世美術との差別化を図るためパースにこだわり三点透視図法を採用し、背景のビル群が登場人物への視線誘導になっている。半人半骨という奇妙なキャラクター造形やあえてズラした中心といった不安定さの反面、三角構図を用いて安定感を与えアンバランスさのある作品を目指している。

デジタル技術の使用箇所・方法

Clip Studio Paintで人物を描き、ibisPaintXを用いて背景の描画と加工を行った。