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HOSEIミュージアム開設記念特別展示併催シンポジウム、三大学(法政大学・関西大学・明治大学)連携事業「都市と大学―三大学の源流」をオンライン開催しました(2021/3/20)

  • 2021年04月09日
  • 実施報告
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3月20日、HOSEIミュージアムで開催中の「開設記念特別展示 都市と大学―法政大学から東京を視る」の併催シンポジウムとして、「都市と大学―三大学の源流」がオンライン開催されました。

2020年、法政大学は東京法学社としての創設(1880年)から140周年、大学昇格(1920年)から100周年を迎えました。このシンポジウムは、その創設に関連があることから、2017年に連携協力協定を締結した「法政大学・関西大学・明治大学」の三大学連携事業としての企画でもあります。

三大学は、東京と大阪において、法治国家への期待と自由民権運動の高まりの中で、いずれもボアソナード博士の教えを受けた法律学校として、ほぼ同時期に誕生しました。そしてその後もほぼ同時期に大学へと昇格し、法律学校から総合大学への展開を遂げています。

今回のシンポジウムでは、三校の法律学校としての創設期、そして大学昇格、総合大学への展開期に焦点をあて、とりわけ、江戸から東京、なにわから大阪への都市形成と大学形成の密接不可分な関わりについて、論じ合われました。

はじめに三大学それぞれを代表して、田中優子(法政大学総長:当時)、前田裕(関西大学学長)、大六野耕作(明治大学学長)から、三大学の成り立ちをふりかえり、シンポジウムへの期待を込めた開会のご挨拶がなされました。

  • 田中 優子(法政大学総長:当時)

  • 前田 裕(関西大学学長)

  • 大六野 耕作(明治大学学長)

シンポジウムの前半には、田中優子(法政大学総長:当時・HOSEIミュージアム館長)、藪田貫(関西大学名誉教授)からの報告が行われました。

田中館長は「3人の若者 東京に法律学校をつくる」と題して、法政大学・明治大学がいずれも、東京以外の地の出身である若者たちが創設したことに着目し、彼らが東京に出てきて、自由民権運動が高まりゆく時代を生き、神田周辺の地において、互いに交叉しあいながら法律を学び、様々な学び舎や雑誌をつくり出す様を報告しました。そして彼らのネットワークを基礎として法政大学・明治大学の源流となる「東京法学社」「明治法律学校」が生まれること、両大学を始めとした学校が東京中心部に次々つくられた背景には、使われなくなった大名・武家屋敷が都心中心部に広大に生まれていた事情も指摘されました。

次に藪田名誉教授は、「大阪に文科大学をー関西大学・なにわ大阪・千里山」として、1886年に大阪市内の寺院で誕生した関西法律学校が、35年後の1921年に、大阪郊外千里山に地を得て、翌年、大学昇格するまでの過程が報告されました。関西大学もまた、大阪以外の地の出身者たちによって創設されたこと、ただし大阪には町中に広大な武家屋敷あとが生じなかった事情もあり、関西法律学校は創設後、町の周辺部を転々とする時期が長く続きます。その後、千里山に拠点を得る際には、郊外開発をめざす鉄道や土地開発の実業家からの援助があったこと、そして総合大学への展開の背景には、文学発祥の地として「大阪に文科大学を!」の気運が大阪の社会にあったことが指摘されました。

2本の報告後は「ブレイク」として、HOSEIミュージアム 開設記念特別展示をご紹介する動画を放映し、その後、後半のディスカッション「‘江戸となにわ’から‘東京と大阪’へ」へと場面を移しました。

パネリストは、お二人の報告者に加えて、 ディスカスタントとして、古俣達郎(HOSEIミュージアム専任所員) が加わり、コーディネータは、鈴木智道(本学社会学部准教授、大学史委員会委員)がつとめました。

シンポジウムでは、共通した源流をもつ三大学の成り立ちと展開を、「都市」というフィルターを介して視ることで浮かびあがる新たな視野の興味深さが議論されました。前半の報告で言及された、江戸期武家屋敷の広大な跡地の有無という東京と大阪の都市化・近代化の違いが、都心に拠点を構えて大学昇格し、後に郊外へとキャンパスを拡張していく法政大学・明治大学と、郊外に拠点を得ることで大学昇格した関西大学の違いの背景にあることなどが浮き彫りになりました。そして、大阪・東京の都市形成と三大学の展開の密接な関連は、明治期、大正期に留まらず、戦後・現在にもあてはまるであろうことが、今後更なる共同研究として本テーマを継続する意義として確認されました。

最後に閉会にあたり、芝井敬司(関西大学 理事長)、廣瀬克哉(法政大学次期総長:当時)から、今回のシンポジウムを今後も連携事業として更に発展させていく期待を込めたご挨拶がなされ、締めくくりとなりました。

  • 芝井敬司(関西大学理事長)

  • 廣瀬克哉(法政大学次期総長:当時)

本シンポジウムは、当日とその後2日間で約380人にご視聴いただきました。ご視聴くださった皆さま、誠にありがとうございました。
なお当日の録画は、以下のYouTubeチャンネルにて、2021年9月末までご覧いただくことができます。ご関心のある方は、ぜひご視聴ください。