お知らせ

東日本大震災から10年目を迎えて

  • 2021年03月11日
  • 災害・被災
お知らせ

2011年3月11日の東日本大震災から10年がたちました。ご家族を亡くした方々、現在もなお避難や不自由な生活を余儀なくされている方々に、あらためて、心よりお見舞い申し上げます。

昨年のこの頃から、新型コロナウイルスの感染はさらに拡大し、2020年度入学式を中止しただけでなく、ガイダンスも対面ではできず、ほぼ全ての授業をオンラインで実施することで、なんとか2020年度の授業を終了することが出来ました。単位取得につながる授業実施は実現できましたが、とりわけ新入生たちは、大学に入学した実感が持てず、友人を作ることも、課外活動を楽しむこともできなかったことは、まことに残念です。2021年度は、この一年の知見を生かし、感染防止に向けて最大限の工夫をすることで、対面授業を基本にするつもりです。

東日本大震災の後には、多くのボランティアが現地に入りました。本学の学生たちもその頃からずっと、後輩に受け渡しながら、現地でボランティアを続けています。2020年度はオンラインで、「未来の陸前高田市を共に考えるSDGsワークショップ」を実施しました。その姿を見るにつけ、また今回のコロナ禍でも、留学生たちに手を差し伸べる学生の様子を見るにつけ、大学とは授業を受けるだけのところではなく、多様で豊かなコミュニケーションと活動の場であることを、改めて実感しています。

東日本大震災は原発事故を含め、10年経ってもまったく終わりが見えていません。いまも4万人以上の方々が東日本大震災の「避難」者だということです。3.11はまだまだ現在進行中であり、そこから私たちが学び、考え、行動しつづけるべきことが、これからもあるのです。学生とともに、そのことを受け渡して行こうと思います。

今後もどのような災害や感染に見舞われるか、私たちは予想ができません。しかしいかなる状況にあっても、そこから学び、新たにつながり、手を差し伸べあい、支え合うことはできます。諦めずに、より良き社会への契機にして行きたいと、いっそう強く思います。

この3月末日を持って、法政大学総長の任期が終わり、教員としても退職いたします。例年続けてきた3.11メッセージの心を失うことなく、これからも3月11日を記憶にとどめ思いを馳せることを、大切にしたいと思っております。

法政大学総長 田中優子