みなさま、あけましておめでとうございます。
昨年、年始のご挨拶をここで申し上げてからの1年は、まったく想像もしなかったような日々でした。
2020年度、法政大学では、オンライン授業を基本としつつも、春学期の一部期間と秋学期には、感染予防対策を徹底したうえで、対面授業が望ましい授業科目の対面実施も行ってきました。他大学ではあまり例のない、対面による新入生歓迎企画や大学祭も実施しました。この1年、コロナ禍でオンラインという手段を余儀なくされながらも、多様で意欲的な取り組みが学内で展開されたことは、大学公式ウェブサイト上の「2020年度 自由を生き抜く実践知大賞」でご覧いただくことができます。
多くの学生、教職員がこの状況下でも、互いに連携して支え合っています。
その一方で懸念していることもあります。感染が終息を迎えるどころか拡大していくなかで、大学での学びをあきらめてしまう学生がいるのではないか、ということです。私はこの1年、人が成長する上で、他者と関わることがいかに大切か、痛感しました。「学び」の本当の課題は、対面授業かオンライン授業かの二者択一ではありません。対面なら関わりつつ学ぶことができ、オンラインではそれができない、ということはありません。五感を最大限駆使した対面による関わりもあれば、オンラインによる距離を超えた関わりもあります。大事なことは、その両方の長所を活かして、対話する機会を積極的に作り出すことです。
本学では教職員と学生がその対話をより活発におこなえるよう、今後も工夫を重ねてまいります。
法政大学は間もなく市ケ谷キャンパスの外構工事が完了し、中央広場が出現します。集まり方が変わったとしても、やはり法政大学は「自由という広場」です。
この1年、私たちは稀有な経験をしました。それを糧とし、新たな実践知を求めて、今年もそれぞれの自由を生き抜いていきましょう。
2021年元旦
法政大学総長
田中優子