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株式会社東急ハンズ 渋谷スクランブルスクエア店 グループリーダー 末廣 三知代さん

  • 2020年11月24日
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プロフィール

末廣 三知代(Suehiro Michiyo)さん

1975年東京都生まれ。1998年に文学部哲学科を卒業後、株式会社東急ハンズに入社。新宿店にてDIYフロアを担当。庶務会計課を経て、2012年より渋谷店にてバッグ&トラベル、ステーショナリーなどのフロア主任・マネージャーを歴任。2019年11月より現職。

興味を持ったことは、何でもやってみる それが私流の生き方

渋谷の新名所として知られる渋谷スクランブルスクエアにオープンした「東急ハンズ」で、管理職としてスタッフを取りまとめる他、掃除や接客も率先して行っている末廣三知代さん。
興味を持ったこと、目の前のことに取り組んでいけば、自然と前に進んでいけると言います。

お客さまのニーズに応えられる売場づくりに注力

2019年11月にオープンした渋谷スクランブルスクエア店で、キッチンやバス・トイレタリー、ヘルス&ビューティー、バラエティのエリアを担当しています。立場上は管理職ですが、朝礼後の棚の掃除に始まり、一日の半分以上は売場で過ごします。私たちにとっては売場が現場で、事務所で膝を突き合わせるよりも、商品や棚の前でスタッフと話をする方が話がスムーズに進みますから。

東急ハンズのミッションは、お客さまの疑問とニーズに応えること。そのため、どの商品をどの棚にどういう見せ方で並べるかといった売場づくりには特に力を入れています。

渋谷スクランブルスクエア店では、「アンサーラック」を導入。お買い物に来られたお客様はもちろん、通りすがりのお客様の目も引く作りにし商品の比較検討がしやすいようにそれぞれの特徴を分かりやすくまとめていて、とても好評をいただいております。

皮むき器・ピーラーのアンサーラック。 「包丁なしでもっと料理を楽しもう」の ひと言は、末廣さんのアドバイスで入れられたひと言

皮むき器・ピーラーのアンサーラック。 「包丁なしでもっと料理を楽しもう」の ひと言は、末廣さんのアドバイスで入れられたひと言

学生記者やアルバイトで社会を垣間見た学生時代

小さい頃から、興味を持ったことにはすぐ飛び付くタイプでした。中学、高校では、「アタックNo. 1」の影響でバレーボール部に所属。小柄な体格もあって選手としては通用しない、それなら選手をメンタル面でサポートする側に回ろうと、心理学に興味を持つようになり、哲学科を受験しました。実は法政は「滑り止め」でしたが、浪人してもう1年受験勉強に専念するより、他のことに時間を使いたいと考え、入学を決めました。

まず始めたのが、毎日新聞の夕刊に週1回掲載される学生ページの記者です。大学生になったらやると決めていたもので、教室の落書き、学内での井戸水の使用など、興味を覚えたテーマを取材して記事を作成しました。お小遣いを稼ぐためにパン屋さんでのアルバイトに精を出し、高校のバレーボール部の指導にも出向いていました。

学生記者の活動はとても面白く、一時はマスコミへの就職も考えたほどです。アイデアを読者の興味を引く形にまとめていく作業は、今の仕事に通じるものがあります。アルバイトでは、売り方や天候によって売れ行きが大きく変化するのを目の当たりにし、販売業に興味を覚えました。「この夢のため」という具体的な目標はなくても、目の前のことに取り組んでいれば引き出しは増えていくものです。

もう一つ、大学生活で忘れられないのが、コツコツ貯めたアルバイト代を注ぎ込んで参加した2年次の夏季海外研修セミナーです。米国の生活、景色、文化を幅広く体験でき、大満足の1カ月でした。法政大学の飾らない校風も私には合っていて、この大学を選んでよかったと思います。

2年次の夏季海外研修セミナーのプログラムの一つ、ベイラー大学(米国)での研修

2年次の夏季海外研修セミナーのプログラムの一つ、ベイラー大学(米国)での研修

突然の庶務課への異動で人の大切さに気付かされる

就職活動では、「面白そう」と思えない会社では長続きしないと考え、業界にはあまりこだわらず、自分の印象で会社を選びました。

縁あって東急ハンズに入社。商品の仕入れや企画を手掛けさせてもらえ、販売の楽しさを味わっていました。ところが、8年目に管理部門である庶務課への異動を告げられて……。大好きな売場を離れるショックが大きくて、楽観的なのが長所の私も、一時は会社を辞めようと考えるほど落ち込みました。少しして研修を担当したときに、「人事にとっては人が商品」だと気付いたんです。それなら自信を持って売場に立てる人を送り出そうと、採用や育成に前向きに取り組めるようになりました。

その後、売場に主任として復帰し、現場における日々の育成も大切だと感じました。新人や若手スタッフにとっては、どこで働くかよりも、誰と働くかが重要。相手にとって私は会社を代表する存在であり、どう言葉をかけるか、どう振る舞うかが相手の成長を左右する、そう意識しています。

ネット時代だからこそ実店舗の強みを生かしたい

ネットショップの台頭で、消費者の購買スタイルは変化していますが、東急ハンズには、目的の商品を買うだけでなく、面白い・便利なモノに出合えるという実店舗ならではの強みがあります。とはいえ、従来のやり方に固執していては行き詰まってしまうので、時代に合わせた変化は必要です。将来的には、ネットを利用して家にいながら店舗内を歩き回ってもらい、オンラインコンシェルジュとして商品選びのお手伝いができたらと考えています。

時代だけでなく、人も変わります。自分のことがまだよく分からない学生のうちに、自己分析で「自分はこのタイプ」と決めつけてしまわず、興味があることは何でもやってみてはどうでしょう。違うなと感じたら、やり方を変えてみればいいし、やめてもいいのですから。失敗から得られるものもあるので、何もしないままでいるのはもったいないと思います。

会社は次々に課題を与えてくれるところ。これからも目の前のことに真摯に取り組み、気付いたら周囲に、そして会社にとってプラスになる存在となっていれば何よりです。

 

(初出:広報誌『法政』2020年10月号)