人の移動や観光を切り口に、移民のコミュニティーや国際文化を読み解く研究に取り組む曽士才教授ゼミ。学生たちは、自身の興味をテーマにして、フィールドワークを重視しながら研究を進めています。
「埼玉県川口市を事例として、外国人移住者と日本人は、どのように共存・共生しているのかを調べています」と語るのは渥美さん。「初めての研究活動は迷ってばかりで、基礎知識の重要性を痛感しました。今年はもっと調査を深めたい」と、反省をこれからの研究に生かします。
民泊による地方創生の可能性を探っているのは内山(香)さん。「広くアンテナを張って情報収集することを心がけました。民泊にもさまざまな方法があることを知ったので、次は農泊(農山漁村滞在型旅行)に目を向けて、調査を進めていきたい」と新たな活動への意欲に燃えます。
「現場に足を運び、当事者から直接得た一次情報を分析する現場主義が、このゼミの持ち味」と語るのは、内山(舜)さん。「外国人に日本語を教えるボランティアの育成」について研究を進め、その成果は国際文化学部内で毎年開催される国際文化情報学会で発表しました。「ゼミの代表として参加することになったため、みんなが準備に協力してくれました」と笑顔を見せます。
高校時代に参加したボランティア活動で曽教授を知り、国際文化学部への入学を決めたという嶋田さんは、まちづくりの一環でシェアサイクル事業に力を入れている神奈川県茅ヶ崎市を調査。「コミュニティーサイクルが地方の観光を支える二次交通になり得るのか、その可能性を探っていきたい」と意欲に燃えます。
「模索しながらも、自分自身の力で活路を開く術を身に付けてほしい」と語る曽教授は、学生たちの研究を尊重しながら、ゼミ全体での学びも促しています。春学期は課外活動として、学生が興味を持っている地域を訪れて歴史を学ぶ「街歩き」を実施。夏に開催する合宿では、観光客向けの体験に参加することで、その地域の特性を学びます。秋学期には卒業生のゲストスピーカーを招いて話を聞くのも恒例です。前回は、松本悟教授ゼミと合同開催し、混合ディスカッションへと発展しました。
「曽教授の人柄もあり、ゼミ内は親身になってお互いを思いやる雰囲気が伝統的に受け継がれています」と微笑むのは代表の川上さん。「その伝統を大切にしながらゼミ活動を活気付けて、次の国際文化情報学会で賞を取れるような研究成果を残したい」と、やる気をにじませます。
(初出:広報誌『法政』2020年4月号)