大学院特定課題研究所一覧

人間支援工学研究所

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2023年4月5日更新

研究代表者 理工学部教授 中村 壮亮
主たる研究分野 計測制御工学、電力工学、認知科学、生理心理学、スポーツ科学
研究概要

 本研究所(人間支援工学研究所)では、ヒトと同化して心身の機能や能力を補完・維持・強化する「人間拡張」やヒトからは独立した機能として人間の生活を支える「人間支援ロボット」などの人間支援技術に関して幅広い研究を行う。具体的な研究内容は、以下の通りである。
 「人間拡張」とは、計測・情報処理・制御の要素技術を有機的にシステム統合するロボット工学を用いて、心身の機能や能力を補完・維持・強化する AH (人間拡張 Augmented Human) 機能の実現を目指す学問体系である。このような人間を内包するシステム(Man-in-the-loop-system)では、共通項と差分(個人差)がそれぞれ存在する人間という対象に対してシステム設計を行う事となるため、適応的で柔軟な設計論が必要となる。具体的には、人間共通の特性を踏まえてある種の共通プラットフォームを用意しておき、そこには個人差へ適応するためのマージンに相当する冗長性・自由度を持たせておく。そして、計測を通して学習した個々人の特性を踏まえ、システムの動作を最適化するという連環を繰り返すシステムを構築する。従って、人間計測、個人特性の学習、システム制御などの人間拡張の文脈における主な機能を構築する各種技術をハードウェア・ソフトウェア問わず成熟させる必要がある。
 また、ヒトから独立した一個体としてふるまう「人間支援ロボット」では、移動する人間にサービス提供を行う為に、ロボットの自律移動技術が中核技術である。そこで、ロボットの自律移動技術やそれを支える空間の計測・構造化技術(空間知能化)について基盤的な要素技術を研究する。
 本研究所の設立意義は、実証的研究を通してこれらの技術を集積し、人間支援工学の範疇にあるシステムの一般的な設計論のエッセンスを炙り出す事にある。そのため、人間支援システムの要素研究などに専ら取り組む工学研究者を中心としつつも、ニーズを熟知する企業技術者・研究者、さらには人間の特性に詳しい認知科学者・生理心理学者・スポーツ科学者などと共同して研究を進める。

 研究所の設立時点では、学外から自律移動/自動運転、モビリティ、ヒューマンインタフェースなどに携わる2名の企業技術者の参加を予定している。しかし今後は、国内外や産学官を問わず、さらに多くの研究者や技術者やイノベータと情報交換ならびに共同研究を進めたいため、得られた研究成果は対外的に発信するなどして、広報活動にも努めたいと考えている。

大学院
特任研究員

鰺坂 志門 京セラ株式会社
清水 拓  株式会社日立製作所
森貞 英彦 株式会社log build

設置期間 2023年4月1日~2028年3月31日
設置場所 小金井キャンパス 北館 N4005