DIVERSITY COLUMN

男女共同参画推進とは

DIVERSITY COLUMN

「男女共同参画推進」を文字通りに解釈すれば、男女が「等しく」社会参画するという目標が表現されています。社会正義と平等を重視する私は、男女間の不平等は人権問題であると考えています。大学経営者の立場から言えば、大学における教育・研究、意思決定における男女の不均衡を解決しない限り、大学組織を持続するのは不可能だと思います。例えば、組織の運営者に男性の方が圧倒的に多いことの何が問題なのでしょうか。人々の考えや視点は環境によって形成されます。現在の社会においては、「男性」と「女性」(および他のジェンダー)は異なる場所に位置付けられ、それぞれの経験が形成されています。「女性」を意思決定から排除することは、組織の運営に「女性」の経験やニーズが反映されないことを意味します。組織の観点からみても、女性や他のマイノリティなど、排除されたグループの経験と潜在能力を活用する機会をいかに作るかが重要です。組織内の多様性を高めることは、イノベーション、生産性の向上、組織パフォーマンスの改善につながることが研究で示されています。

男女共同参画推進の目的は、誰もが自分の可能性を最大限に発揮できるような、生き生きとした環境をつくることです。 ある意味で、それは一人ひとりに真の選択肢を与えることでもあります。女性はキャリアを積みたくないとか、管理職になりたくないという話を聞くことがあります。私は、その人が本当にあらゆる選択肢を同等に検討できる状況にあるのであれば、それ自体は問題ないと考えています。例えば、500円しか持っていない場合、5000円のコース料理よりも、ファストフードやラーメンの方が「好き」だと言うのは説得性がありません。5000円あればどちらも選べますが、500円しかなかったら、5000円のコース料理を「選ぶ」ことはできません。 私がやりたいこと、そしてHOSEI2030推進本部特設部会「男女共同参画推進チーム」が目指していることは、すべての人に本当の意味での選択肢が与えられる環境を作り、それぞれが生きたいように生きてもらうことです。

 

※本学の「男女共同参画の取り組み」はこちらページをご覧ください。

ダイアナ コー

法政大学ダイバーシティ推進担当理事・副学長

グローバル教養学部教授