男女共同参画ニューズレター

男女共同参画ニューズレター vol.5-1

男女共同参画ニューズレター

本記事は、男女共同参画推進チームが2023年11月7日に開催した「教職員ネットワーキング懇談会」において報告いただいた内容(要約)です。岩崎理事のご了解を得てご紹介させていただきます。

誰もが働きやすい職場にするための「合理的配慮」

 岩崎 晋也(常務理事・現代福祉学部教授)

私の専門領域は社会福祉だが、社会福祉とジェンダーは関係が深い。

今日はそのなかでも特に有効な概念と考えられる「合理的配慮」についてお話したい。

以下は、内閣府が示している内容だ。(障害者の差別解消に向けた理解促進ポータルサイト)

「合理的配慮の提供について、障害者からの社会的障壁の除去についての申出の内容と、その申出に対し過重な負担のない範囲でできる対応について、障害者と事業者が対話を重ね、解決策を検討していくことが重要です。このような双方のやりとりを「建設的対話」といいます。」

過重な負担なら配慮しなくて良いのではなく、どうやったら調整していけるかをめぐって話し合う、この「建設的対話」が「合理的配慮」の基本的精神といえる。

「合理的配慮」は単なる善意による配慮の提供ではない。先の記述は、以下のように続く。

「申出について対応が難しい場合でも、・・・ 建設的対話に努めることで、目的に応じて代替となる手段を見つけていくことができます。」

「建設的話し合い」に参加して、「理に適っている(合理的)」配慮をしないことは、法的な差別になる。これは、等しく扱わないことだけを差別とするのではなく、異なる者を異なって扱わないことも差別だという、新しい差別の類型である。

合理的配慮の考え方は、もともと障害分野ではなく、1960年代のアメリカで宗教差別に関連して誕生した。男女共同参画についても、その実現のために「合理的配慮」という手段の適用を、例えば法政大学など、事業所単位で推進することはもちろん可能だ。

ただし「合理的配慮」を必要とする人が社会的に弱い立場である場合、事業所に建設的対話を求めても、聞いてくれない可能性もある。その際、なにが「理に適っている(合理的)」か、調整するための第三者的立場が必要だといわれている。社会福祉の領域には、ソーシャルワークという方法があり、社会参加に向けて、関係を調整する役割を担っている。法政大学でも、来年度新設される「DEIセンター」などが、そうした関係調整の役割も果たしていけるとよいかもしれない。

 

※教職員の方は教職員専用ページより、岩崎先生のお話全文をご覧いただけます。(統合認証IDのログインが必要です。)