2022年度第18回デジタルコンテンツ・コンテスト

動画部門・準優秀賞 望郷

2022年度第18回デジタルコンテンツ・コンテスト
氏名  研究科・学部  専攻・学科  学年 
立川 駿
佐藤 有哉
情報科学部 ディジタルメディア学科 2
  • 使用ソフト
    Blender2.9 、AfterEffects2022
  • 開発・制作・動作環境等
    windows11
  • 使用素材
    静止画:sozaiya.com、AmbientCG、PhotoAC、olyhaven、textures.com
    音楽:Artlist、効果音ラボ
    動画:ニコニ・コモンズ

作品要旨

舞台は2030年の電車、あなたはそこで不思議な夢を見ます。そこにはかつての日本の美しい「四季」がありました。温暖化や環境破壊によって本来の季節が失われつつある今、あなたはこの映像を見て何を感じますか?

作品解説

本作品はフルCGアニメーションの映像作品です。舞台となる2030年の日本では、気候変動やそれによって引き起こされた災害などでニュースが持ち切りになっていました。そんなニュースを見ながら、電車の中でうたた寝をした主人公は、夢の中で不思議な体験をします。私たちは「この作品を見た人を如何に感情移入させるか」ということに重きを置いて本作品を作りました。そのため、作中のカメラワークはすべて主人公の一人称視点で作っています。また、美しい緑と海に囲まれた夏、紅葉と稲穂に飾られた秋、雪化粧した山脈と積雪に覆われた冬、桜と菜の花の香る春など、日本の美しい景色をCGでリアルに再現するため、実際に田舎で撮った風景や資料を基にモデリングやライティングを調整し、見た人が映像終了後、実際に美しい景色を見たような余韻に浸れる作品を目指しました。この映像を見て、日本の美しい四季を惜しみ、温暖化や気候変動への関心を持つ人が少しでも増えてほしいです。

デジタル技術の使用箇所・方法

Blenderでの作成パートについて:
電車、駅舎、地形、自然物、キャラクターモデリングはすべてCG制作ソフトのBlenderでモデリングしました。地形に関してはスカルプティングで制作したものにマテリアルを投影し、川は流体シミュレーションで作成しました。また、自然物に関して、近景の木はモデリングした幹に対して葉っぱや桜の花をパーティクルのヘアーで付け加え、遠景の木や稲、草花はPhotoShopで描いたものやフリー素材をカメラに対して正面方向にパーティクル配置することであたかも立体的な植物が生えているように見せています。手に関してはループカットや、細分化を多用してモデリングしたものにボーンを入れ、キーフレームで動かしています。また、冬の山間部、秋、春のシーンの一部にはボリュームで光の拡散をコントロールして霧を再現しています。カメラワークでは人間らしい動きを再現できるようにキーフレームの打ち方、緩急を工夫しました。

講評

電車の中の夢で四季を体験するシンプルなストーリーであるが,風景を中心によく作り込まれており,非常に完成度の高い作品であった.制作に多大な時間がかかったことが容易に想像できる.未来のスマホが登場するなど,随所にSF要素も取り入れられているのも面白い点である.細かい点であるが,手のモデリングの完成度向上やシェーディングモデルやパラメータの改善を行えば,更に完成度の高い作品になることが期待される.