2018年度第14回デジタルコンテンツ・コンテスト

静止画部門・佳作 1999年、夏の旅行写真

2018年度第14回デジタルコンテンツ・コンテスト
氏名  研究科・学部  専攻・学科  学年 
 三好 郁也 社会学部 メディア社会学科 4
  • 使用ソフト
    Maya 2016, pixelmator, motion5
  • 開発・制作・動作環境等
    Mac OS Sierra
  • 使用素材
    静止画:Paper-co, 壁紙館

作品要旨

今更ですが、1999年の旅行写真を現像してみました。今ではこのような風景はかなり減りました。この風景写真を見て、変化の慌ただしい世の中に少しでも「安らぎ」を見つけて頂けると嬉しいです。

作品解説

1、2枚目は電車の駅を撮った写真という設定で作って見ました。まず線路や駅舎を作ってから、電車を置いて、カメラ配置を工夫しました。写真からもわかると思いますが、「田園柑橘駅」となっております。駅舎表示を焦点に当てた1枚目は、旧国鉄駅にある列車接近表示をベースに「春うらら」から電車がやってきた=「夏がやってきますよ」という意味を含んでいます。また駅看板に焦点を当てた2枚目は隣の駅からもわかるように、「春から夏への移り変わり」、「初夏」という季節設定をここで示しています。また2枚に写真に出てくる電車はディーゼルの田舎の電車をイメージし、やや汚くなっています。ちなみに行き先である終点は「おでん駅」。季節の電車になっています。3、4枚目はその電車に乗って行った旅行先の旅館です。旅館は小道具から作っており、3枚目は旅館名「旅館 かんきつ」が入った電球に焦点を当てて、何気無い日常にしてみました。4枚目は旅館の部屋全景となっています。近年このようなタイプの和室は減る一方ですが、日本家屋伝統の良さがあります。障子から襖まで旅館の美しさを堪能してください。

デジタル技術の使用箇所・方法

全てをCGで作りました。1、2枚目は特に駅舎のライティングが難しかったです。普通にライティングすると違和感満載の写真になってしまうので、HDRIを用いて、外で撮ったような自然な写真に見えるように工夫しました。電車は一つ一つを丁寧に作りました。今回は全て焦点から外れていますが、実際の電車のように汚さが出るようリアリティーを追求しました。それと同じく駅看板など全てに「汚さ」のテクスチャを加え、古さを表現しています。3、4枚目はこれも旅館の小物を一つずつモデリングしました。こちらは少々机が複雑なデザインをしてたので難しかったです。部屋のレイアウトはいろんな旅館の写真を参考に、普通の和室にならないよう、所々障子紙に模様を入れたり、電球のライティングの色を変えることで、「旅館感」を出しました。

講評

4枚1組の作品で、ローカル電車が「はるうらら」駅から「でんえんかんきつ」駅に到着し、初夏の季節に「旅館かんきつ」を訪れるという、時間軸と空間移動を交えた物語性が秀逸である。CGの工夫が顕著であり、特に3枚目で左手前に扇風機でもあるようなぼかした雰囲気が面白いし、4枚目は逆にリアル感が際立っており庭の景色や欄間と障子、座椅子の質感が素晴らしい。机のデザインは少し分かりにくい。総じて周到な力作である。( 若原 )