スポーツ健康学部・スポーツ健康学研究科の木村新専任講師が筆頭著者である論文「Revealing the reproducibility and coordination of highly-skilled baseball throwing」が海外雑誌「Journal of Sports Sciences」に掲載されました。
熟練した野球選手やダーツ選手は、ある程度意図した通りにボールやダーツを投じることができます。こうした高度な正確性は、いかにして実現されているのでしょうか。本研究では、リリースパラメーター (リリース時の投射物の位置、速度、回転) の再現性と協調性の観点から、熟練者にみられる特徴を検討しました。具体的には、野球経験者および未経験者に対して、オーバースローおよびサイドスローの投球を交互に行ってもらい、ボールに装着した反射マーカーの三次元位置をモーションキャプチャーシステムにより取得しました。得られたボールの位置座標からリリースパラメーターを算出し、それらの再現性および協調性を分析しました。その結果、熟練者はリリース位置と速度の向きを協調させることにより、ボールの到達位置のばらつきを抑えていることが明らかとなりました。このような協調性は、未経験者には認められませんでした。さらに、熟練者は速度の向きのばらつきを抑える、すなわち再現性を高めることによっても、ボール到達位置のばらつきを抑えていることが示されました。本研究では、リリースパラメーターにおける再現性と協調性を同時に評価する新たな方法論と概念的枠組みを導入しました。これにより、技能の理解および習得メカニズムの解明に資する有益な知見を提供することが期待されます。
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