理工学研究科の教員・学生が執筆した学術論文の図が、IEEE Transactions on Magnetics 2024年7月号の Front Page(表紙)に採用されました。
EVや空調機等では高出力な永久磁石モータが駆動しています。モータの出力は、装荷されている永久磁石の磁化状態に強く依存しており、非破壊的に、かつ、高速高精度に磁化状態を推定することが望まれています。これを解決するため、岡本研究室では独自の永久磁石磁化推定手法SiGrad を開発しました。しかしながら、永久磁石に欠損部が含まれる場合の探索効率が低いことが指摘されていました。そこで本論文では、磁化強度の制約条件を最適化反復毎に、前反復の磁化強度を基準量として、自動的に挟み込む方式を採用したP-SiGrad を提案しました。また、ネオジム磁石の磁化推定をターゲットとして、打ち切り特異値分解、SiGradと比較することで、P-SiGrad の有用性を明らかにしました。
これまで、永久磁石内部の磁化状態を推定する場合、電子線後方散乱回折(EBSD)や振動資料型磁力計(VSM)等を用いた破壊的な推定法が有効とされていましたが、本システムを用いることで、モータ内部に装荷されているネオジム磁石やボンド磁石の詳細な磁化状態を可視化できます。本技術は、モータに使用される永久磁石の着磁状態・経時変化の評価に適用できますので、今後のEV・空調機等の人間社会に必需となる電気機器設計に大きく寄与します。