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理工学研究科の在学生がIEEE VTS Tokyo/Japan Chapter VTC2025-SpringでStudent Paper Awardを受賞

  • 2025年06月30日
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理工学研究科博士後期課程に在学中のCHEN Jinhuaさん(余 恪平研究室)が、IEEE VTS Tokyo/Japan Chapter VTC2025-SpringでStudent Paper Awardを受賞しました。   

本研究では、自動車に搭載される"知能システム(インテリジェント・オートモーティブ・システム)"において、大規模言語モデル(LLM:Large Language Models)を安全かつ効果的に活用するための新しい学習フレームワークを提案しました。車両内での利用を想定すると、ユーザーデータの多様性(データのばらつき)や、計算資源の制約、プライバシー保護の必要性など、さまざまな課題があります。本研究では、"連合学習(Federated Learning)"という分散型の機械学習手法を用いることで、データを車両内にとどめたまま高性能なモデルを構築する方法を開発しました。さらに、モデルの学習効率を向上させるために「LoRA(Low-Rank Adaptation)」と呼ばれる軽量チューニング技術を取り入れ、計算負荷や通信量を大幅に削減しました。その結果、最新のベンチマークにおいて、他の最先端手法を上回る精度と汎用性を達成しています。

本研究成果は、次世代の自動車技術におけるユーザーインターフェースの進化や、より賢い車載アシスタントの実現に貢献するものです。たとえば、自然な会話でカーナビやエアコンを操作したり、安全運転支援を受けたりすることが、より身近で現実的になります。また、ユーザーの個人データを外部に送信せずに車内で学習を行うため、プライバシーを守りながらも高性能なAI体験が可能になります。これは、自動車だけでなく、医療や教育など、個人情報の扱いが重要な他分野にも応用が期待される技術基盤です。

・受賞者:CHEN Jinhua(応用情報工学専攻博士後期課程2年) 

・学会名:IEEE VTS Tokyo/Japan Chapter VTC2025-Spring

・学会開催場所: ノルウェー・オスロ

・学会開催期間:2025年6月17日~6月20日

・受賞日:2025年6月23日

・受賞名:Student Paper Award

・受賞論文名:Federated Fine-Tuning of Large Language Models for Intelligent Automotive Systems with Low-Rank Adaptation

・共著者:Franck Junior Aboya Messou (応用情報工学専攻修士課程2年)、ZHANG Shilong(応用情報工学専攻博士後期課程1年)、LIU Tong (応用情報工学専攻博士後期課程1年)、YU Keping (理工学研究科准教授)、Dusit
Niyato (Nanyang Technological University, Singapore)