理工学研究科生命機能学専攻植物医科学領域修士課程の平山大稀さん(応用動物昆虫学研究室(大井田寛教授))が実施中の、イチゴの葉を食べる害虫を、天敵生物を使って駆除する実証実験について、読売新聞・朝日新聞・毎日新聞・日本農業新聞にて、その取り組みが紹介されました。
実験では、害虫のハダニ類を捕食するミヤコカブリダニなど2種類の天敵生物をイチゴの葉に放し、防除効果を検証しています。
天敵農法には、生物農薬として販売される輸入した天敵生物を使うことが多く、化学農薬に比べコストが高いことが課題となっています。実験で使われる2種類の生物は、全国に生息しており、これらを地域ごとに捕獲して飼育・増殖し、特定防除資材(※)として利用することができれば、コストの削減が期待できます。
平山さんは、「コストも抑えられるうえ、生態系の影響も少ない。将来的には天敵生物の地産地消を進める取り組みを全国的に広げていきたい。いずれはアブラムシやアザミウマ、コナジラミなどの害虫にも対応できるようにしたい」と話しています。
イチゴの葉の様子を確認する平山さん(左)
実証実験は、平山さんが代表を務める「株式会社bio Egg(ビオエッグ)」が、日本航空の関連会社「JAL Agriport(アグリポート)株式会社」、栃木県芳賀郡益子町にある「吉村農園」と共同で実施しています。
平山さんの今後のさらなる活躍が期待されます。
※特定防除資材(特定農薬)とは
農薬取締法の下では、天敵生物を含め、病害虫防除効果をうたう資材は原則として農薬としての登録が必要です。特定防除資材は例外的に「原材料に照らし農作物等、人畜及び水産動植物に害を及ぼすおそれがないことが明らかなものとして農林水産大臣及び環境大臣が指定する農薬」として定められ、農薬登録を経ずに病害虫の防除に使えるものであり、「使用場所と同一の都道府県内で捕獲された天敵」はこの一つに指定されています。
ハダニ(右)を天敵ダニ(左)が食べる様子