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理工学研究科在学生が電子情報通信学会で学術奨励賞を受賞

  • 2024年03月08日
  • 受賞
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理工学研究科修士課程に在学中の中坂 日南さんが電子情報通信学会で学術奨励賞を受賞しました。

  電子情報通信学会学術奨励賞は、電子工学及び情報通信に関する学問、技術の奨励のため、有為と認められる新進の科学者又は技術者に贈呈されます。電子情報通信学会母体の賞であり、33歳未満の若手に贈られる名誉ある賞です。
 中坂日南さんは、プラズモニック導波路を用いて光信号を効率よく伝送するための、新たな光結合構造を考案しました。導波路へ光を結合させるためには、グレーティングと言われる周期的構造の上部から光を入射します。これまでは、長方形のグレーティングが用いられていましたが、光を垂直入射するとグレーティングの両方向に光が伝搬してしまいます。グレーティングを光リンクに用いると半分のパワーを捨ててしまうことになります。傾斜入射を行えば光の一方向伝搬が可能ですが、入射角の制御が困難です。
 そこで中坂日南さんは、垂直入射でも光を一方向伝搬できるグレーティング構造を考案しました。具体的には台形状のグレーティングを導入し、垂直入射の光を導波路に斜めに入射できるように工夫しました。台形の上底と下底の長さを、スネルの法則を用いて設計。その結果、特に難しい制御の必要のない垂直入射の状態で、光の一方向伝搬を可能にしました。これにより、光リンクにおいて入射光を効率よく利用できるようになりました。

この研究成果により、効率よい光回路の実現が期待されます。ここで研究しているプラズモニック導波路は、従来の誘電体導波路よりも1~2桁程度の構造の小型化が可能です。小型であることは消費電力も小さくできる可能性もあります。現在世界中でプラズモニック導波路を用いた光リンクの研究が進められており、本研究で見出された新たなグレーティング構造の導入が期待されます。


・受賞者
中坂 日南(電気電子工学専攻修士課程1年)

・学会名
電子情報通信学会

・受賞日
2024年3月5日

 ・受賞名
学術奨励賞

・受賞論文名
1)周期長を考慮したプラズモニックグレーティングカップラの結合特性
2)有限周期構造におけるプラズモニックグレーティングカップラのFDTD解析

・共著者
竹谷 和真(電気電子工学専攻修士2年)