「キャリア」と聞いて、何をイメージするでしょうか?職業、とくに専門的な職業を思い浮かべる方も多いでしょう。しかしこの学部では、もっと広くとらえています。英語の Careerの意味(生涯、経歴、行路など)に即して、人が生涯にわたってたどる生の軌跡のすべてが「キャリア」だと考えています。そして、一人ひとりにとってかけがえのない人生=キャリアを主体的に「デザイン」(設計・再設計)していくこと―これが「キャリアデザイン」なのです。
キャリアは、一度設計すればそれで終わり、ではありません。現代の日本においては誰もが標準的なキャリアをたどるわけではなく、むしろ〈標準〉そのものが揺らいでいます。また、一度設計したキャリアが修正を迫られることもあるでしょう。だからこそ自分で設計・再設計できる能力を身につける必要があるのです。
現在の日本社会は大きな変化のただなかにあります。とりわけ、個人の人生に大きな影響を及ぼすのが、働き方の変化や生き方の多様化です。生涯同じ会社に勤め続ける、あるいは結婚して退職し、専業主婦になるといった、少し前まで〈標準〉的であった生き方が、必ずしも誰もがたどる生き方ではなくなりつつあります。また終身雇用制がくずれ、派遣社員・契約社員・パートタイム・アルバイトなど、雇用形態も多様化し、経済情勢の変動が直接個人の暮らしを脅かすことも少なくなりません。
そうした、生き方・働き方をめぐる大きな変動の中で、キャリアに関わる多様な選択肢を前に個々人の判断が求められる場面が増えています。そのような時代だからこそ、一人ひとりが、暮らし方、学び方、働き方をめぐる社会のしくみみや変化をしっかりと理解し、自立/自律的に自ら学び、考え、行動できる力―まさにキャリアデザインの力を身につけていくことが求められているのです。
法政大学キャリアデザイン学部は、このような社会の急激な変化に力強く、かつ柔軟に対応するために、自ら学び、考え、行動できる自立/自律的な人を育てています。同時にまた、そのような自立/自律的な生き方を求めている人たちを支援できる「人の専門家」を育てることを目ざしています。
学校、企業、自治体、政府、NPO、地域など、人々の生き方-暮らし方、育ち方、学び方、働き方、等々-に関わる場は多様なかたちで存在しています。こうしたさまざまな場において、自己のキャリアを豊かに、主体的にデザインしていくとともに、他者のキャリアデザインの支援ができる専門的な知識やスキルを学びます。キャリアデザイン学部で身につけた力は、人材・教育等の分野で職業的に他者のキャリア支援を行う場合だけではなく、企業や地域社会などで他社と関わりながら活動するあらゆる場面で活用することができるでしょう。