トピックス(2019年度以前)

小金井キャンパスで初めて箱根駅伝を走った環境応用化学科1年青木涼真君と学部長が対談をしました

  • 2017年03月30日
トピックス(2019年度以前)

学部長対談-小金井キャンパス初!箱根駅伝を快走、青木 涼真君(環境応用化学科1年)

    対談者
青木涼真(環境応用化学科1年)
生命科学部学部長  石垣隆正
生命科学部准教授  越智英輔
生命科学部教授    水澤直樹

第93回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)において、本学陸上競技部は総合順位8位の成績をおさめ、次年度のシード権を獲得しました。生命科学部環境応用化学科1年の青木涼真君は、小金井キャンパス52年の歴史の中で初めて箱根駅伝の本選に出場し、1時間7分20秒、区間9位のタイムで快走しました。このような輝かしい走りを成し遂げた青木君に大学へ来て頂き、生命科学部長石垣先生、生命科学部体育担当越智先生と今回の箱根駅伝についての対談を実施しました。その内容を以下に示します。

 

石垣■ 小金井キャンパスができて52年、その中で初めて理系学部の学生として走ったということで、すばらしいことだと         思います。さらにその中で、生命科学部の学生が走ってくれたというのはとてもうれしいことですが、小金井キャンパス初ということを青木君は知っていましたか。
青木■ 壮行会のときに、小金井キャンパスではまだ走った人がいないと聞きました。ことしは、自分ともう1人、理工学部              の先輩がエントリーされていて、どちらかが走れば小金井初となっていたので、走る前から意識はしていました。
石垣■ 実は私は応援には行けなくて、テレビで見ていたんですけれども、8位だとテレビに映るには、引き継ぎのときだけでした、残念ながら。それで、青木君が出てきたので「あっ」と思って。何分差だったかな。
青木■ 前とは50秒ぐらいで、後ろと1分ぐらい離れていました。もらったときは前後ともに結構離れていて、渡すときは前とは40秒ぐらい詰めて渡しました。
石垣■ どうですか、8区というのは。走ってみてどうだったんだろうか。
青木■ コースの特徴としては、前半がずっと海沿いで平坦な道なんですけれども、風が強くて、前半10キロぐらいはずっと風にあおられた状態で走って、後半からアップダウンがすごくあって、正直、かなりきつかったです。
石垣■ 8区を走るのは前もって聞いていたの。
青木■ エントリーが16人なんですけれども、16人のメンバーが発表された後、そんなに時間がたたないうちに8区と言われていました。
石垣■ どんな気持ちで走りましたか。
青木■ 8区というのは、つなぎ区間というか、余り目立たない地味なところだったので、自分の性格からして向いているというか……
石垣■ 確かに、陸上で、特に長距離をやる子はすごくストイックだという気がするんだけれども、その中でもまた……。
青木■ 余り目立ちたいというのはなくて、仕事ができれば十分満足なので。
石垣■ 目立ちたくなくても、高校のときには結構いろいろな大会で活躍したんでしょう。
青木■ どうでしょうか。自分の考える中では、そこまで活躍はしていないかなという感じです。インターハイには出て、3,000メートル障害という種目なんですけれども、8番で、ぎりぎり入賞して表彰台でした。
越智■ もともと、大学に入ったら箱根駅伝で疾走する目標を立てていたのですか。
青木■ はい、箱根を走るために入りました。
水澤■ 地味だというお話がありましたけれども、駅伝というのは結構ストイックでつらいと思うんです。10キロ、20キロと走るわけですよね。多分、何か魅力があって続けていると思うんですけれども、青木君が駅伝に感じている魅力というのを教えていただければ。
青木■ 駅伝は、自分だけの力じゃないというのが一番です。中学校までサッカーをずっとやっていて、高校から陸上を始めたんですけれども、長距離は個人種目ではあるんですが、駅伝はチームスポーツでもあるので、両方できるというのが魅力です。あと、自分の力や今のチームの力がタイムとかの数字であらわれて、努力が明確にあらわれるので、そういうところに魅力を感じます。
越智■ 昨年に比べると法政大学の箱根駅伝の最終順位は大きくあがりましたね。チームとして去年と今年とで違ったというところのポイントはありますか。
青木■ 先輩方によく聞くのは、夏に合宿を3回やるんですけれども、まず、その合宿の雰囲気がことしと去年では違ったと。ことしは、みんなが自信を持って、「行けるぞ」というか「やってやる」というムードでできていたので、去年より全然よかったという話を聞いています。
越智■ では、手応えはあったわけですね。
青木■ 下馬評では法政はかなり低くて、まず予選会も抜けられないみたいな話だったんですけれども、練習を見ていた感じでは、このメンバーで抜けられないわけはないと。監督も選手もみんな「やってやる」という感じでした。
越智■ 今度は青木君個人についてですが、普段の練習からコンディショニングなどで気をつけていることはありますか。
青木■ 余り細かいことを気にしないことですね。
石垣■ 今まで、なかなか箱根を走った人がいなかったというのは、やはり理系はハンディがあると思うんだけれども、そのあたりのところはどう思いますか、ふだんの生活をおしえてください。
青木■ 月曜日は完全オフなので練習はないんですけれども、火曜日から日曜日までは朝練習が5時半からあって、1年生は掃除があるんですけれども、8時ぐらいに朝食と掃除が終わって、ここまで来るのに1時間半ぐらいかかるので、1限がある日は、朝練習に行ったらそのままずっと動きっ放しです。掃除も先にやらせてもらって、急いで1限に来て、授業が終わったら――練習が、長距離は大きく分けると2種類あるんですけれども、ジョギングというか疲労抜きみたいな形の練習と、ポイント練習といって負荷をかける練習があります。ジョギングの日は1人でやっても大丈夫なので、集合に間に合わなくてもいいんですけれども、負荷をかける練習の日は、5時40分スタートで、そこまでにアップを終わらせてスタートするというものなので、学校に来て授業を受けて、そのままグラウンドに向かって、アップをして練習して、帰って夕飯を食べて風呂に入ったら、あと1時間、2時間しか自由時間がない。そこでレポートが来るので……
石垣■ でも、理系を選んだのは自分の意思だよね。
青木■ そうですね。中学のときから自分は理系だなと思っていて、高校に入っても理系でやりました。高校の顧問の先生には、箱根を本気で目指すなら理系じゃなくてもいいんじゃないかみたいなことは言われたんですけれども、余り興味がない学問をやったところで、身にもならないし充実感も違うと思いました。法政で箱根を目指しつつ理系の勉強ができればなと思って。
石垣■ 私は環境応用化学科の教員なので、この学科を選んでくれて非常にうれしいんですけれども、化学ということを意識して生命科学部を選んでくれたのかな。
青木■ 実は化学は正直苦手な分野で、物理が好きなんです。ただ、パンフレットを読んでいたら、環境応用化学科がエネルギーの関係の研究をやっていると書いてあって、エネルギーの開発とかに興味があったので、どんぴしゃの学部があるからそこに入れてもらおうと思って来ました。
石垣■ 化学という学問は物理を理解していないといろいろなことがわからないので、物理に興味があって、かつ化学をやるという気持ちで入ってくれたんだったら、それはとてもいいと思うんですよね。多分、もっと授業が専門のほうに進んでいくと、物理がどんどんでてきます。物理が好きだということで入ってきたのはとてもいいことだと思います。
 では、将来的にも理系の専門を生かしたような進路というのを考えているんですか。
青木■ 法政に入るときに、大学院まで行って、そこから社会に出ようというか、そういう職につこうと思っていたんですけれども、大学に入って1年間陸上をやって、若干の手応えがありました。長距離はそのまま実業団に進む選手もいるので、自分も、もしここからもう一回り二回り成長できるのであれば、実業団に行って3,000メートル障害でオリンピックを目指したいなと思っているので、今のところは、就職というより、実業団に行って陸上を続けるという考えです。
石垣■ 個人種目でも手応えを感じたというところなんだね。
青木■ そうですね。関東インカレで去年入賞しました。
越智■ 高校の時とくらべて、大学の指導や支援体制の違いを感じる点はありますか。
青木■ 指導者がかわったことによって(指導内容)がかわる部分はあるのですが、加えて大学は施設の充実と、学生トレーナーさんやコーチなどの指導スタッフが整っているという点で高校とは大きく違います。高校時代は伸び伸びやらせてもらってはいたんですけれども、大学は強くなるための環境が整っていることと強くなろうという思いがなければ伸びないです。高校は適当にやっていてもまあまあ戦えるというのはあるんですけれども、大学はどこも死に物狂いでやっているので、そういうのが違いではあるかなと感じます。
越智■ 法政大学におけるスポーツ科学的なサポートについて具体的に教えてください。
青木■ 骨密度や筋量を、半年に1回ぐらいはかることで、体脂肪率や筋量で調子を推測することはあります。あとは、血液検査の値を見て、普段の食事に生かしています。
水澤■ それでは最後に、来年度に向けての抱負をお聞きかせください。
青木■ 来年はチーム目標が「ことしよりも上の順位」ということになっているので、そのためには、ことし以上の走りをしないと間違いなくそこにはたどり着けないので、箱根が終わった次の日からもう練習し始めて、来年に向けて今もやっています。ここから箱根まで、実際期間でいうとかなり長いとは思うんですけれども、やっている側としてはあっという間なので、そこまでしっかり集中を切らさないでやっていけたらなと思っています。
越智■ 青木君には、理系における文武両道のひとつのモデルになってもらいたいと思っています。
青木■ ありがとうございます。
石垣■ ぜひ後に続く人もでてきてほしいですね。
水澤■ 本日はどうもありがとうございました。

2017年2月27日10:00-11:00、小金井キャンパス東館会議室にて実施