ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

細菌の動きをつかさどるべん毛モーターの微細観察をし生物の不思議に挑む 生命科学部生命機能学科超分子機能学研究室(曽和義幸准教授研究室)

  • 2019年01月29日
ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)
前列左から、熊﨑優美さん(4年)、曽和義幸准教授、阿部夏五斗さん(3年)、 後列左から、髙井亮太郎さん(3年)、竜野真理衣さん(3年) ※全員、生命科学部生命機能学科

前列左から、熊﨑優美さん(4年)、曽和義幸准教授、阿部夏五斗さん(3年)、 後列左から、髙井亮太郎さん(3年)、竜野真理衣さん(3年) ※全員、生命科学部生命機能学科

「大腸菌やビブリオ菌などの細菌(バクテリア)は、繊維状の運動器官(べん毛)をスクリューのように回転させることで水中を泳ぎ、移動します。べん毛を回転する力を生み出す『べん毛モーター』は、1秒間に100回以上もの高速回転をしますが、動きにロスがなく、ほぼ100%に近いエネルギー変換効率で動いています。
私たちはその機能解明に取り組んでいます」と、紹介してくれたのは髙井さん。タンパク質の複合体であるべん毛モーターは、どのようにして人工のモーターよりもはるかに高い性能を発揮させているのか。その命題の答えを求めて、学生たちは個々の視点で研究に励んでいます。

直径が数十ナノメートル(※)という微小なべん毛モーターの動きを追跡するために、曽和研究室では独自の技術で顕微鏡も開発。さらに、高い解像度で細部まで構造を捉えるために、蛍光顕微鏡を用いての蛍光観察にも取り組んでいます。
「曽和研究室は、自分のペースで研究ができるところが魅力です」と語るのは、モーターの力点である固定子の構造を蛍光観察しているという竜野さん。「まだ分からないことだらけですが、先生が研究の様子を見ていてくれて、行き詰まっている時にはヒントやアドバイスをくれます」と曽和准教授に信頼を寄せます。

レーザー光を用いて微小物体をつかめる光ピンセットで細胞を保持し、モーターの特性を測る実験をしている様子

レーザー光を用いて微小物体をつかめる光ピンセットで細胞を保持し、モーターの特性を測る実験をしている様子

その声を受け、「先生はもちろん、先輩方もとても親切で優しく、研究室の中は和気あいあいとしています」と笑顔を見せるのは熊﨑さん。べん毛が滑らかに回転する上で、モーターの各部がどのように作用し合っているのかを調べています。
「研究では、方針を決めたり、検討事項を洗い出したり、理論立てて考える力が求められます。将来に役立つスキルだと思うので、もっと自分の力を磨きたい」と先を見据えます。
「実験や観察から得られたデータを、学生が自らの力で解釈し、説明できる力を身に付けてもらいたい」と語る曽和准教授の進捗状況報告会は、学部生だけでなく大学院生も参加。研究の成果や問題点を発表した後は、質問が飛び交います。こうした環境のもと、学生は2年次または3年次の早期からテーマに取り組み、卒論に向けて研究を深めます。

高校の生物教師を目指しているという阿部さんは、「教える立場になることを考えたら、まず自分が興味を持たないと、生徒は付いてきてくれないでしょう。生物が相手だと、思うような実験結果を得られないこともありますが、いろいろな経験をしながら、面白さを伝えていきたい」と未来に希望を寄せます。

(初出:広報誌『法政』2018年11・12月号)

べん毛モーターの模式図。超小型(直径数十ナノメートル)な生体モーターながら、人工のモーターに酷似した構造

べん毛モーターの模式図。超小型(直径数十ナノメートル)な生体モーターながら、人工のモーターに酷似した構造

生命機能学科に所属する全学生が聴講できる卒業研究発表会。教員も含めて、数百人の前で発表に臨む

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