ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

行政紛争を模した 行政法の事例学習を通じて 一般市民と行政の立場を理解(法学部法律学科 西田幸介教授ゼミ)

  • 2017年10月31日
ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)
前列左から、清水碧さん(4年)、西田幸介教授、篠山健太朗さん(4年/前ゼミ長)、 後列左から、白石悠貴さん(4年)、久岡将大さん(3年/ゼミ長)(全員、法学部法律学科)

前列左から、清水碧さん(4年)、西田幸介教授、篠山健太朗さん(4年/前ゼミ長)、 後列左から、白石悠貴さん(4年)、久岡将大さん(3年/ゼミ長)(全員、法学部法律学科)

私人である一般市民と、公的な行政機関との紛争処理などを、実践的に学んでいます」と紹介してくれたのは、行政書士の資格取得を目指しているゼミ長の久岡さん。「今は3年生が中心となって行政紛争の事例学習に取り組んでいます。西田先生から課題が提示されるので、関連法令や参考判例が記された20ページほどの資料を読み解きながら、設問の解答を導き出すのです」

この課題の狙いは、一般市民と行政機関の間で発生した行政上のトラブルを、行政法の観点で考えること。模擬裁判を想定し対立構造で議論を戦わせるために、1チーム5人前後で三つのチーム(①基礎事項チーム:課題に類する過去の判例を読み解いて解説する役、②弁護士チーム:市民側の代弁者として主張を展開する役、③公務員チーム:行政機関としての立場を表明する役)に分かれ、それぞれ異なる役割を果たします。課題が提示された翌週には①から順番に、それぞれの役割に応じた検討結果を報告します。

ゼミ内ではサポートに徹し、「学生の自主性に任せています」と語る西田幸介教授。実践的な課題を豊富に用意することで学生たちの学習意欲を刺激し、自ら答えを導き出せるように後押ししています。

普段のゼミの様子。三つのチームに分かれて討論する

普段のゼミの様子。三つのチームに分かれて討論する

その効果は大きく「調べる力や発表するスキルが鍛えられました」と語るのは、前ゼミ長の篠山さん。
「どのチームに属しても、一度は発表の機会があります。課題内の設問に解答するだけでなく、その場で全員から質疑応答を受けるので、常に緊張の連続でした。しかし、昨年1年間みっちり取り組んだ結果を振り返ると、プレゼンテーションスキルには自信が持てるようになりました」

国家公務員を目指して、猛勉強中の白石さん。「ゼミの仲間やOB・OGの先輩たちとの情報交換は、勉強のいい刺激になっています」と、顔をほころばせます。「個人的に、行政法は公務員のルールブックという意識でいるので、『行政法の理解に関しては誰にも負けない』という気構えで取り組んでいます」

「行政法は、法律の名前ではなく、行政に関わるさまざまな法律を総称した言葉。漠然としているので、最初は理解するのに苦労しました」と指摘するのは、小学生から憲法に興味を持ち、将来は公民科の教諭を目指している清水さん。「公民の教科も行政法も分かりづらいけれど、自分たちに密接に関わる大切な社会のしくみです。もっと身近に感じてもらえるように、次は私が教え子に伝えていきたい」と意欲を語ります。

(初出:広報誌『法政』2017年度8・9月号)

参考文献などの調べ物は、パソコンを活用。インターネットを通じて判例データべースなど にアクセスして、法律用語から過去の判例まで調べている

参考文献などの調べ物は、パソコンを活用。インターネットを通じて判例データべースなど にアクセスして、法律用語から過去の判例まで調べている

昨年つくばで行われたゼミ合宿の様子

昨年つくばで行われたゼミ合宿の様子