ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

社会的な弱者や不平等に関する問題を学び常識にとらわれない視野を持つ(GIS(グローバル教養学部)グローバル教養学科 ダイアナ・コー教授ゼミ)

  • 2017年05月09日
ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)
前列左から、宮下舞さん(3年)、ダイアナ・コー教授、デ・カストロ・ゲンキさん(4年)、 後列左からネヴィン・さんごさん(3年)、吉田円香さん(4年)

前列左から、宮下舞さん(3年)、ダイアナ・コー教授、デ・カストロ・ゲンキさん(4年)、 後列左からネヴィン・さんごさん(3年)、吉田円香さん(4年)

社会学をベースに、「インターセクショナリティ」という理論的視点から社会的弱者について研究を進めているダイアナ・コー教授ゼミ。「簡単に言うと人種、ジェンダー、セクシュアリティなどによる不平等や格差は絡み合っています。例えば、ジェンダーを研究したい学生には、階級や人種による不平等や差別にも目を向けるように促しています」と語るコー教授。

現在のゼミ生は3年生3人、4年生3人、計6人と人数が少ないこともあり、各自が興味のある分野を個別に調べる個人研究が主。毎週のゼミ活動では、読んできた論文や各人の研究について全員が意見を出し合い、活発なディスカッションをしています。もちろん全て英語で行います。

「黒人と日本人の〝ハーフ〞が抱える問題、外国人に対する人種差別意識などについて研究を進めています」と語るのは、自身もジャマイカ人と日本人の〝ハーフ〞だというネヴィンさん。「私自身は差別を受けた経験はないのですが、〝ハーフ〞は日本人として認められていない側面もあることに気付き、自分のアイデンティティーについても考えさせられています」

ゼミ生は学年にかかわらずニックネームで呼び合う対等な関係。お互いの研究に対しても活発に意見を出し合う

ゼミ生は学年にかかわらずニックネームで呼び合う対等な関係。お互いの研究に対しても活発に意見を出し合う

実は、GISの学生から扱う論文や課題の難易度の高さがうわさされていたコー教授のゼミ。それを志望した動機は「先生の人柄に魅力を感じた」と全員が声をそろえます。その人柄は、学生一人一人に対して誠実に向き合い、きめ細やかにフォローする指導姿勢に表れています。

トランスジェンダーに関する研究を手掛けつつ、アルバイトやサークル活動でも飛び回り、精力的な学生生活を送っている宮下さん。「時間に追われ学習や研究がおろそかになると、先生は親身になってきちんと叱ってくれます。時間管理のアドバイスもいただきました」

12歳の時にフィリピンから日本に移住し、日常会話に不自由はないものの英語や日本語での論理性に自信がないというデ・カストロさんは「参考になる文献の紹介やレポートの書き方など、細かい点まで気を配ってサポートしてくださいます」とコー教授に信頼を寄せます。

帰国子女の吉田さんは、ゼミでの学びが自分の進路決定にもいい影響をもたらしたと言います。「いい意味で常識にとらわれずに生きていきたいと思うようになりました。卒業後は、男女の差など関係なく、対等に張り合えるくらいバリバリと仕事をする生き方がしたい」と目を輝かせる姿に、全員が大きくうなずいていました。

(初出:広報誌『法政』2016年度3月号)

ゼミで読む学術論文や書籍は全て英語

ゼミで読む学術論文や書籍は全て英語

OB・OGとの交流も密で、ゼミに参加してくれたり、教授を交えて食事会に行ったりすることもある

OB・OGとの交流も密で、ゼミに参加してくれたり、教授を交えて食事会に行ったりすることもある