ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

従来の枠にとらわれず、人を豊かにする道具づくりを幅広い視野に立って実践する(国際文化学部国際文化学科 甲洋介教授ゼミ)

  • 2016年08月02日
ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)
前列左から、泉名恋さん(3年)、甲洋介教授、達可早紀さん(4年)、後列左から、佐々木綾さん(4年)、山田祥世さん(4年)、小椋美佳さん(4年)※全員、国際文化学部国際文化学科

前列左から、泉名恋さん(3年)、甲洋介教授、達可早紀さん(4年)、後列左から、佐々木綾さん(4年)、山田祥世さん(4年)、小椋美佳さん(4年)※全員、国際文化学部国際文化学科

情報学の視点から近未来の生活空間のデザインを研究する甲ゼミ。研究は空間だけでなく、モノの使いやすさ、使い心地の良さなど人間の感情を刺激するような道具づくりにまで至ります。甲教授は「研究対象は物質的なモノにとどまらず、環境や空間、思わず動いてしまう身体の反応や五感を生かした体験など形のないもののデザインにまで及んでいます」とテーマの多様性を語ります。

ゼミの構成メンバーは3年生、4年生ともに10人ずつ。ゼミ長などの役職は設けず、全員で役割を分担しながら運営しています。モノづくりに興味を引かれて入ゼミした佐々木さんは「学んでみると、モノづくりに無関係に思えた哲学や心理学なども、根本的な部分でつながってくることが驚きでした。学ぶ分野が幅広いので、常に新たな発見ができることが楽しい」とゼミの魅力を語ります。

ゼミの基本スタイルは、甲教授が厳選した文献を、意見を交わし合う「輪講」。春合宿で初めて輪講を体験したという泉名さんは「筆者が言いたいこと、事例を身近な例に置き換えたらどうなるかなど、本には書かれていないことまで考えを深めるように促されたので、すごく勉強になりました」と言います。

輪講では担当者がまとめたレジュメを基に全員で話し合う

輪講では担当者がまとめたレジュメを基に全員で話し合う

輪講のテーマは3週間を目安に戦略的に変わり、3年生は11月の学会発表、4年生は卒業論文に向けて、より研究を深化させたい興味対象を見つけていきます。学会発表で空間デザインを手掛けた小椋さんは「3人でチームを組んで、図書館での新しい学びの空間を考えました。でも、お互いに遠慮して行き詰まってしまって。先生から『本音でぶつかって、お互いの意見を大事にしながら、共存できる方法を探してみなさい』と後押しされ、無事にやり遂げられました」と充実感を語ります。

卒業したゼミ生が国際会議で発表した研究を引き継ぎ、他人が近寄ると不快に感じる空間「パーソナルスペース」の研究を進めている達可さん。「パーソナルスペースは、対象者と他者の関係性、そのとき取っている行動など、状況によって異なるので、実験を重ねて仮説を検証しています。心地良い距離感の基準づくりに役立てて、介護ロボットなどの仕様に生かせたら」と目標を定めます。

「理論だけを学ぶのではなく、人々の暮らしを考えて学べるのが、甲ゼミです」という山田さん。「難しい概念や知識を自分の身に引き寄せて、実社会や日常生活にもっと寄り添った考え方ができるようになりました」と成長を実感しています。

(初出:広報誌『法政』2016年度6・7月号)

昨年11月の国際文化情報学会(手に持つのは発表した空間デザイン案の模型)。3部門中2部門で奨励賞を受賞

昨年11月の国際文化情報学会(手に持つのは発表した空間デザイン案の模型)。3部門中2部門で奨励賞を受賞

5月の春合宿にはOG・OBも参加。ビタミン活動(知と心のビタミンを吸収する課外活動)として秩父・羊山公園の芝桜を観賞

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