ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

多様な研究の相互作用で食糧危機・環境汚染対策に向け植物の栄養吸収メカニズムを解析(生命科学部応用植物科学科 佐野俊夫教授研究室)

  • 2016年02月18日
ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)
前列左から、千葉萌枝子さん(3年)、佐野俊夫教授、山田夕葵さん(3年)。後列左から、白坂優紀さん(4年)、小佐野星さん(ゼミ長・4年)※全員、生命科学部応用植物科学科

前列左から、千葉萌枝子さん(3年)、佐野俊夫教授、山田夕葵さん(3年)。後列左から、白坂優紀さん(4年)、小佐野星さん(ゼミ長・4年)※全員、生命科学部応用植物科学科

植物栄養医科学研究室として、有用作物の開発や環境汚染抑制に向け、無機栄養分の利用とその吸収メカニズムを考察している佐野研究室。土壌、温室、実験室内と生育環境ごとの班に分かれ、各種課題に取り組んでいます。

温室班の千葉さんが研究しているのは「バジルの高温適応性機能」。「6種類のバジルを高温と常温で栽培し、高熱への耐性に差異を生むメカニズムを調べています。それが分かれば、地球温暖化が進んでも育つ作物の育種につながる可能性があります」と研究意義を話します。

研究は植物個体から細胞、遺伝子レベルに至るまでさまざま。手法も多岐にわたりますが、山田さんは「それぞれの研究に生かし合えることが少なくないんですよ」と言います。金属元素・カドミウムの吸収機構を調べるためのシャーレでの植物生育において、「病原菌耐性を研究している先輩から、重力屈性を生かした方法を教えてもらいました。重力に沿って根が伸びる性質を生かし横にしていたシャーレを縦にするだけですが、調査はミリ単位。正確なデータが取れるようになりました」。

週1回行われる経過発表会では、内容はもちろん、プレゼンテーション力も問われる

週1回行われる経過発表会では、内容はもちろん、プレゼンテーション力も問われる

班制や課題ごとの3、4年ペア制など、ゼミ生同士の協力を促す体制が築かれています。

小佐野さんは「この環境が研究に対する理解を深めてくれます。異なる視点から自分の研究を見直すことができます」と言います。「佐野先生も、経過発表の際は実験結果のみに依拠せず、科学的根拠に基づいた理論説明をするようご指導くださいます。『真実は何か』を問う姿勢が身に付きました」。卒業研究テーマは、菌根菌という植物共生菌が植物生育に与える効果の検証。「生き物である植物の『真実』を追究するのは難しいですが、研究で得た知識と姿勢を内定先の化学企業で生かしていきたい」と話します。

東館裏の畑で行っている土壌班の研究

東館裏の畑で行っている土壌班の研究

「ゼミ生にとっては大変かもしれませんが、理論説明は社会では必然。研究を通じて社会人としての基礎力も身に付けてほしいと思っています」と佐野教授。

白坂さんは「卒業生に植物工場や園芸関連企業など研究から結びつく仕事に就いている方が数多くいるのも、佐野先生がゼミ生一人ひとりと向き合い指導してくださるからだと感じます」と話します。卒業後も大学院生として佐野研究室で研究を続ける予定の白坂さん。「近年、普及しつつある植物工場での植物水耕栽培において、付加価値のある野菜栽培につながるような研究ができたら」と今後に目を輝かせます。

(初出:広報誌『法政』2015年度1・2月号)

温室班。植物の播種、植え替えも研究に欠かせない作業の一つ

温室班。植物の播種、植え替えも研究に欠かせない作業の一つ

実験室内では室内班に加え、土壌班・温室班も集まって実験

実験室内では室内班に加え、土壌班・温室班も集まって実験