ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

政治、外交、開発、都市政策―国際関係論を多角的観点で研究し社会構造の理解を深める(GIS(グローバル教養学部)グローバル教養学科 藤重博美准教授ゼミ)

  • 2015年10月29日
ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)
手前から時計回りに、藤重博美准教授、梅澤信太郎さん、阪倉杜実さん、達川慶輔さん。*学生は全員、GIS(グローバル教養学部)グローバル教養学科4年

手前から時計回りに、藤重博美准教授、梅澤信太郎さん、阪倉杜実さん、達川慶輔さん。*学生は全員、GIS(グローバル教養学部)グローバル教養学科4年

「勉強がこんなに楽しいとは思ってもみませんでした」と語るのは阪倉さん。国際関係論を中心にしながらも、安全保障、開発、政治と宗教の関わりなどさまざまな課題を扱う藤重ゼミで世界の知見を深めたい、と入ゼミしました。「ゼミには多様な文化経験を持つ人たちが集まっていて、日ごろ知る機会がほとんどないナゴルノ・カラバフ(※)といった地域の実態まで知ることができる。毎回、発見の連続です」。米国留学中もインターネット通話を利用してゼミに参加していたほど、阪倉さんは精力的に研究に取り組んでいます。

すべての活動を英語で行っている藤重ゼミでは、英語論文の完成を最終目標に、毎週2時限を使って、3、4年生計7人の研究経過報告と英文および関連文献の読み込み・討議(すべて英語で)を行っています。

「民主主義についての議論が、藤重ゼミの特徴を最も表していると思います」と振り返る達川さん。ゼミ生各自が専門分野の事例を出しながら途上国を民主化する場合の政治・経済・文化的な影響を、民主化の支持派と批判派に分かれて議論。激しい論戦となりましたが、達川さんは「複層的な議論ができたことこそに意味があった」と言います。「新たな視点は社会構造の理解につながりますし、異なる価値観を受け入れて尊重し合うことが人間同士のコミュニケーションでも重要だからです。また、得た観点を論文に生かし翌週の発表時に評価してもらう循環は、研究意欲を促進してくれています」

ゼミで使用している英語の専門書を手に、ゼミ全員での集合写真

ゼミで使用している英語の専門書を手に、ゼミ全員での集合写真

「ゼミでの研究を、実際の社会構造を理解する助けにしてもらいたいと思っているので、学生たちが手応えを感じてくれているのはうれしいですね」と目を細める藤重准教授。「優秀な学生が集まってくれているので、私もゼミ生たちから学ばせてもらっています」と話します。

藤重ゼミを「エキスパート集団」と表現し、「ゼミテーマに即してさえいれば、藤重先生はどんな分野でも受け入れ、興味を専門分野へと伸ばしてくれるのです」と話す梅澤さん。日本発スマートシティー構想の海外輸出を目指し、内定した外資系コンサルティング企業で実現すべく研究を進めています。「もともとITに興味があり、オーストラリアへの留学で日本を見つめ直したことから着想しました。日本は技術力が高い割には、発信力が弱い。ゼミで多角的な視点を養い、異なる文化圏の方にも日本の価値を認めてもらえる有効な施策を見つけたいですね」と梅澤さんは目を輝かせます。

※ロシア、中東諸国、アジア各国・地域に囲まれた、アゼルバイジャン共和国の中で独立を主張している地域

(初出:広報誌『法政』2015年度10月号)

「うるさいほど話し合う」というゼミでのディスカッションは、もちろん英語で

「うるさいほど話し合う」というゼミでのディスカッションは、もちろん英語で

授業の後、市ケ谷キャンパス近くの靖国神社を散策することも。優秀な成績を修め、今春、本学で初めて3年生修了時に早期卒業したOB(現在は東京大学大学院に進学)も、この日はゼミと散策に参加

授業の後、市ケ谷キャンパス近くの靖国神社を散策することも。優秀な成績を修め、今春、本学で初めて3年生修了時に早期卒業したOB(現在は東京大学大学院に進学)も、この日はゼミと散策に参加