ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

豊かな社会を営むために人間一人ひとりの発達教育を現場体験に引き付けて考察(キャリアデザイン学部キャリアデザイン学科 遠藤野ゆり准教授ゼミ)

  • 2015年09月03日
ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)
左から、原澤理未さん(4年)、遠藤准教授、松田奈津美さん(3年)、篠原礼樹さん(3年)※全員、キャリアデザイン学部キャリアデザイン学科

左から、原澤理未さん(4年)、遠藤准教授、松田奈津美さん(3年)、篠原礼樹さん(3年)※全員、キャリアデザイン学部キャリアデザイン学科

広義の「教育」をテーマに研究している遠藤ゼミ。ボランティアやアルバイトなどゼミ生が個々の現場体験に引き付けながら、教育に関わる諸課題を考察しています。

「学習障がい児の教育支援」について卒業研究をしている原澤さん。アルバイト先の個人指導塾で担当する記憶障がいを持つ中学生を対象に、事例研究を行っています。「その生徒は英単語や公式などの暗記に不安を持ちますが、原因の一つとして、多くの人が言語をベースとする記憶システムなのに対し、彼が映像をベースとしているからだと分かりました。自分とは全くシステムが違うので、相手の立場に自らを引き寄せて考える難しさを改めて感じています」と言いながらも、原澤さんはさらに研究熱を上げています。

卒業論文を必須として課し、ゼミ運営は2年次秋学期から学年別に、段階的なプログラムが組まれています。例えば3年次春学期は専門書の講読。全員がテキストを熟読、レジュメを作成した上で臨んでいます。

「5月は社会心理学の本をテキストに、謝罪の許容機能について議論しました」と、週に1冊は必ず専門書を読みこなす篠原さん。「謝罪すべき問題の質や程度で許容範囲は変わるし、謝罪は自分の立場を守るための釈明だという側面もある。意見は大きく分かれましたが、一つの事柄に対して各々が当たり前と思い込んでいたことに疑問を見出して互いの考えをぶつけ合うことで、現状の問題をあぶり出し、みんなの『納得解』を探ることに意味がある」と話します。

3年生のゼミ風景。 互いを尊重し合うからこそ鋭い議論が行われている

3年生のゼミ風景。 互いを尊重し合うからこそ鋭い議論が行われている

レジュメは遠藤准教授に毎回添削され、一人ひとりへ返されます。「厳しいコメントも控えず伝えています」と遠藤准教授。その言葉の裏には、社会でもまれても耐えられる素地をゼミで培ってほしい、との思いが込められています。

「遠藤ゼミは個性豊かな人たちが集まっていますが、多くの人に共通しているのが、先生の人柄にひかれて入ゼミしたこと。私もその一人です」と、もともとはビジネス系を専攻予定だった松田さん。他のゼミ生の鋭い分析力に対して、自分が発言するのは申し訳ない、と劣等感を抱いたことがあったと言います。「先生に相談し『ゼミ生があなたをバカにするような人たちだと思っているの?』と指摘されたときは目が覚める思いでした。優しい言葉でごまかすのではなく、私たちゼミ生と一対一で真剣に向き合い、本質を指摘してくれる先生だからこそ、学べることも多いと感じています」

(初出:広報誌『法政』2015年度8・9月号)

毎年2回、青山学院大学と合同で行う離島での合宿。小中学生へのレクリエーションによるボランティアは、予算管理や学校職員の方との調整も含めてゼミ生が担う

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頻繁に開かれる食事会やイベントには、OB・OGも多く駆け付ける

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