ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

それぞれの意見を持ち寄り無限の作品世界に遊ぶ(文学部日本文学科 藤村耕治教授ゼミ)

  • 2014年11月06日
ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

サブゼミで準備し本ゼミでさらに深く掘り下げる

前列左から、米山奈津美さん(3年)、藤村教授、掛川千奈未さん(3年)、後列左から、宮内智哉さん(副ゼミ長・2年)、中村研士郎さん(2年)中山功貴さん(ゼミ長・3年)※ 全員、文学部日本文学科

前列左から、米山奈津美さん(3年)、藤村教授、掛川千奈未さん(3年)、後列左から、宮内智哉さん(副ゼミ長・2年)、中村研士郎さん(2年)中山功貴さん(ゼミ長・3年)※ 全員、文学部日本文学科

主に戦中・戦後の日本文学の作家・作品を研究している藤村ゼミ。2・3年生24人のほか4年生1人、大学院生2人が所属しています。

「藤村ゼミにはただ座っているだけの人は一人もいません」とゼミ長・中山さん。「春学期・秋学期それぞれ4人程度の作家・作品を取り上げ、グループ発表を行うのですが、本ゼミの前にサブゼミを行い、そこで討論したことや自分の考えてきたことを一人ひとり文章にまとめて発表します。発表者以外も作品を読み込み、800字~1200字程度で考えをまとめた上でゼミに参加しますし、発表後にはコメントシートを記入して発表者にフィードバックします。さらに学期の最後には、自分の担当した作品について4000字以上の最終レポートを提出。書くことが圧倒的に多いおかげで、文章を書くことに抵抗がなくなりました」と学びの特長を語ります。

「発表された時代背景や世相、作者の置かれた状況など、作品の背後にあるものを考えながら読む。そこには幾通りもの読み方、解釈があり、これが正解というものはありません。だからどこまでも議論を深められる。3年生になって、その面白さを実感するようになりました」と言うのは掛川さん。昼休みや空き時間など、ゼミの仲間が顔を合わせると自然にプチゼミのような会話になってしまうとか。米山さんも「自分の意見をどうすれば相手に伝えられるのかを意識するようになりました。先生はどんな意見にも『それは違う』と否定しませんから、わざと極端な論をぶつけてみんなで討論する、そんな楽しさも見つけられました」と手応えを感じています。

前期に「伊豆の踊り子」を取り上げたことから、ゼミ旅行で伊豆へ。作品の舞台である旧天城トンネルや河津七滝めぐりなどを楽しんだ。写真は修善寺温泉の福地山修禅寺にて

前期に「伊豆の踊り子」を取り上げたことから、ゼミ旅行で伊豆へ。作品の舞台である旧天城トンネルや河津七滝めぐりなどを楽しんだ。写真は修善寺温泉の福地山修禅寺にて

一方、宮内さんは「サブゼミの中で先輩から教わり、自分なりの読み方・考え方を掘り下げていくのですが、最初は自分の考えがまとまらず、先輩と一対一で何時間も話し合いました」と語ります。「常に自分の意見を求められる厳しさと同時に、自分とは別の視点に気付けるのが新鮮。準備は大変ですが、『大学のゼミで研究している』という実感があります」とやりがいを感じています。「レベルの高いゼミで自分を磨きたいと思い藤村ゼミを選んだ」中村さんも「今は先輩たちに助けてもらう場面が多いですが、学べることを貪欲に吸収していきたいですね」と前向きにゼミに取り組んでいます。

「読みを狭めるような指導はしたくない。学生が自由に意見を戦わせる場として、また自分の論を文章で展開できる力を身につける場として、ゼミを活用して欲しいですね」と藤村教授。発表の後には毎回『お疲れ様会』を開くというフレンドリーさも、藤村ゼミの魅力のようです。

(初出:広報誌『法政』2014年度10月号)

発表者はもちろん全員が事前に作品を読み込んだ上でゼミに参加、アットホームな中にも熱い議論が戦わされる。ただ座っているだけ、という人は一人もいない

発表者はもちろん全員が事前に作品を読み込んだ上でゼミに参加、アットホームな中にも熱い議論が戦わされる。ただ座っているだけ、という人は一人もいない

準備に多くの時間をかけ、ゼミに臨んだ発表者たちをねぎらう『お疲れ様会』。やりとげた達成感と同時に、それまでの苦労が報われる瞬間だという

準備に多くの時間をかけ、ゼミに臨んだ発表者たちをねぎらう『お疲れ様会』。やりとげた達成感と同時に、それまでの苦労が報われる瞬間だという