ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

流動的要素を通して建築空間・環境をとらえる(デザイン工学部建築学科 赤松佳珠子准教授ゼミ)

  • 2014年10月02日
ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

現場感覚に裏打ちされた建築家に不可欠な能力の修得を

前列左から、長谷川裕馬さん(大学院デザイン工学研究科・修士1年)、赤松准教授、久保公人さん(ゼミ長・大学院デザイン工学研究科・修士1年)、後列左から、若林萌子さん(大学院デザイン工学研究科・修士2年)、鈴木友哉さん(デザイン工学部建築学科・4年)、髙橋貴実乃さん(大学院デザイン工学研究科・修士1年)

前列左から、長谷川裕馬さん(大学院デザイン工学研究科・修士1年)、赤松准教授、久保公人さん(ゼミ長・大学院デザイン工学研究科・修士1年)、後列左から、若林萌子さん(大学院デザイン工学研究科・修士2年)、鈴木友哉さん(デザイン工学部建築学科・4年)、髙橋貴実乃さん(大学院デザイン工学研究科・修士1年)

建築空間は、そこに集う人々の活動を支え、さまざまな行為を誘発する場です。人々の活動・時間・光・音・風などさまざまなフルイド(流動的要素)を通して建築空間・環境を捉える――建築設計・空間デザインに取り組む赤松研究室では、そんな新しい時代に向けての建築空間の在り方を探っています。

ゼミは2013年4月に発足。「学生がやりたいことを提案し、自主的に運営するゼミ」を意識し、試行錯誤しながらさまざまな活動に取り組んできました。

その中から生まれたのが筑波山(茨城県つくば市)の「大越邸プロジェクト」です。築145年の古民家を再生させるべく、清掃から展示空間の構成に取り組みました。「設計課題に取り組むのとは違い、大家さんをはじめいろいろな人の話を聞き、自分たちに何ができるのかを考えながら進めるのが新鮮でした」と長谷川さん。「筑波山麓祭では無料休憩所や障子を和紙で復活させるワークショップを行い、多くの人が興味を持って覗いてくれ、リアリティのある喜びを実感しました」と語ります。今年は、古民家の裏手にある竹林の有効活用という新たな課題に取り組みます。

筑波山にある古民家・大越邸にて行った休憩所の空間作りプロジェクト『光と障子のワークショップ』の様子。来てくださった方たちに、障子を好きなように切って貼ってもらい完成させた

筑波山にある古民家・大越邸にて行った休憩所の空間作りプロジェクト『光と障子のワークショップ』の様子。来てくださった方たちに、障子を好きなように切って貼ってもらい完成させた

若林さんは「最前線の現場の話が聞けるのですごく勉強になります。建築書の読書会をしたいと提案したら取り入れてくれるなど、学生主体でどんどん進んでいく楽しいゼミですね」とゼミの魅力を説明します。

商店街の活性化問題に取り組んでいる鈴木さんは「社会の問題を建築に生かすという考えがあることに気づき、今では背景にある問題などさまざまな点に目が向くようになりました」と手応えを感じています。

「ゼミでは建築物の見学ツアーも行っています。実際の建築物を見ると、図面では分からなかったさまざまな発見があります」と髙橋さん。今年は青森の建築物を見て回る予定とか。

ゼミ長の久保さんは「今年は去年より人数が増えて、さまざまな意見を戦わすことができるようになったのが嬉しい。ゼミ内でのコンペもやれればいいですね」と抱負を語ります。発足2年目を迎え、ゼミには大学院生、留学生など新たなメンバーが加わりました。

「例えば小学校の建築設計なら、教員、保護者、教育委員会、地域の人々などあらゆる人とコミュニケーションをとり、意見・要望を調整しなければなりません。そのため建築家にはマネジメント力やコーディネート力が不可欠です。こうした能力を少しでも身につけて欲しいですね」と赤松准教授。豊富な現場経験に裏打ちされた指導は、学生たちにしっかり届いているようです。

(初出:広報誌『法政』2014年度9月号)

昨年度のゼミ旅行の様子。鳥取・島根へ行き、昼は出雲大社をはじめとする建築を見て回り、さまざまな空間体験をした。夜は名建築に宿泊し、花火をするなどゼミ生同士の仲を深めた

昨年度のゼミ旅行の様子。鳥取・島根へ行き、昼は出雲大社をはじめとする建築を見て回り、さまざまな空間体験をした。夜は名建築に宿泊し、花火をするなどゼミ生同士の仲を深めた

普段のゼミの様子。建築の本を皆で囲み、議論しながら1冊の本を読み進めて行きます。真剣に、時にわいわいと楽しく毎週活発なゼミが開かれている

普段のゼミの様子。建築の本を皆で囲み、議論しながら1冊の本を読み進めて行きます。真剣に、時にわいわいと楽しく毎週活発なゼミが開かれている