ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

個に切り込んだ徹底議論で社会心理の“専門”を追究(GIS(グローバル教養学部)グローバル教養学科 新谷優准教授ゼミ)

  • 2014年08月28日
ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

実験を含む個人研究で自己と多様性社会を知る

前列左から、月村優樹さん(4年)、新谷准教授、志水元さん(ゼミ長・4年)。後列左から、月田佳希さん(3年)、久野真梨子さん(4年)、小林萌子 さん(3年)※全員、グローバル教養学部グローバル教養学科

前列左から、月村優樹さん(4年)、新谷准教授、志水元さん(ゼミ長・4年)。後列左から、月田佳希さん(3年)、久野真梨子さん(4年)、小林萌子 さん(3年)※全員、グローバル教養学部グローバル教養学科

全授業が英語で行われるとあって、海外経験者も多く在籍するGIS。その中でも新谷ゼミはジャマイカ、タイ、ベトナム、韓国など多彩なバックグラウンドを持つ学生13人が集まり、社会心理学の視点で研究しています。

「目に見えない『恥の文化』などの事柄について考えるようになりますし、『日本は集団主義で、米国は個人主義』といった一般化されている概念にも別の見方があることを知ることができます」と研究意義について語るのは、高校時代の留学経験から日本文化について改めて考えたいと入ゼミした月田さん。小林さんは「特に新谷ゼミは、社会的な議題でも『男女の意識の違い』といった身近な話題に引き寄せて考えられるから楽しいんです」と続けます。

研究は「Self(自己)」と「Culture(文化)」を隔年でテーマとし(今年度は「Culture」)、毎週2~3本の英語論文を輪読しています。「アンケートで国際比較をする際の問題点を指摘した論文をもとに議論した回では、質問内容に国特有の概念を含む場合、国際比較は可能か、という一人のゼミ生の指摘から、その一例として日本の『勿体ない』などの表現について議論が及びました」と説明する志水さん。「さまざまな文化圏の経験者がいるので、議論を通じて世界の多様な価値観を得られます」と新谷ゼミならではの学びの特徴を言い表します。

穏やかな雰囲気の中でも、ゼミでは一人ひとりが各文化圏で築いてきた価値観をぶつけ合い議論されるとあって、「自己の再発見と仲間との結束の強化ができる」とゼミ生たち

穏やかな雰囲気の中でも、ゼミでは一人ひとりが各文化圏で築いてきた価値観をぶつけ合い議論されるとあって、「自己の再発見と仲間との結束の強化ができる」とゼミ生たち

「新谷ゼミは本音で語り合えることが大切にされているのです」と活発な議論の秘訣を話す久野さんは、「先生ご自身が子育ての悩みなどを見せてくださることで、私も人生で初めて他者に弱みを話すことができ、苦手だった論文の読解も、提出物の作成も余裕をもってできるようになりました」と自身の成長を披露。

新谷准教授は、「GISは教養学部であることから専門性が身に付かないと思われがちですが、仲間と切磋琢磨することで海外の大学院へも進学が可能ですし、生涯の友も得られます」と、ゼミ生への思いを語ります。

6月現在、4年生は秋の完成を目標に個人研究の大詰めを迎えています。第二体育会バスケットボール部の主将経験からモチベーションに関心を持ち、その維持について「多くの文献では『自己実現』が挙げられていますが、私自身は『他者貢献』。論文に必須である実験で、明らかにしたいと思っています」と月村さん。「どんな事柄も支えているのは人。世界にはいろんな人がいて、答えは一つではないことをこのゼミで解しました。納得する論文を仕上げ、多様化する社会でも生かしたい」と意気込みを語ります。

(初出:広報誌『法政』2014年度7・8月号)

新谷准教授の人脈から、世界の第一線で活躍する研究者の講演会に出席したり、ゼミに招いて議論に参加してもらったりすることもある

新谷准教授の人脈から、世界の第一線で活躍する研究者の講演会に出席したり、ゼミに招いて議論に参加してもらったりすることもある

節目ごとに開かれる食事会。学業に関係ないおしゃべりを通して互いの新たな側面を発見したり、特別参加したOBOGとの交流で自らの未来を考えたりする機会にもなっている

節目ごとに開かれる食事会。学業に関係ないおしゃべりを通して互いの新たな側面を発見したり、特別参加したOBOGとの交流で自らの未来を考えたりする機会にもなっている