ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

野鳥観察を通じて生物多様性社会を政策する(人間環境学部人間環境学科 高田雅之教授ゼミ)

  • 2014年06月12日
ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

宇宙規模の視点を身につけ人生のバネを養う

前列左から、松田弘一郎さん(Aゼミ/元ゼミ長)、高田教授、吉永早希子さん(Aゼミ/幹事長)。後列左から、門脇駿さん(Bゼミ/マップ担当)、押田悠さん(Aゼミ/元副ゼミ長)、加藤優実さん(Bゼミ/ Hosei-IBA 担当)。全員4年生

前列左から、松田弘一郎さん(Aゼミ/元ゼミ長)、高田教授、吉永早希子さん(Aゼミ/幹事長)。後列左から、門脇駿さん(Bゼミ/マップ担当)、押田悠さん(Aゼミ/元副ゼミ長)、加藤優実さん(Bゼミ/ Hosei-IBA 担当)。全員4年生

生態系保全をテーマに、時事問題プレゼン、ディベート、野外学習、ゲストスピーカーによる講義とさまざまな活動を行っている高田ゼミ。それらの中でも現在ゼミ生たちが最も力を入れているのが、昨年度「21世紀社会のリーダー育成」助成金活動としても取り組んだAB両ゼミ(※1)合同の野鳥観察です。

「マニアックなイメージを持たれることがありますが、野鳥を通じて関連する動植物のほか、緑地保全や都市開発など人間の商業活動を含めた生態系全体を知ることができるんですよ」と、その魅力を語るのは吉永さん。サブゼミとして始まった野鳥観察ですが、「発見の連続で取り組むほどに関心が深まります」とゼミの主軸活動になりました。

観察は千代田区を対象に、生息が確認されている野鳥を事前調査した上、Hosei-IBA(※2)や評価軸を策定し、調査方法を改善しながら図鑑・マップの作成を行っています。

「個性溢れるクラブチーム」と高田教授が表すAゼミ。生態系研究と社会貢献への高い意識から水質調査や田植えなど休日の野外活動にも積極的に参加し、ゼミをけん引する

「個性溢れるクラブチーム」と高田教授が表すAゼミ。生態系研究と社会貢献への高い意識から水質調査や田植えなど休日の野外活動にも積極的に参加し、ゼミをけん引する

調査手法も製作物もすべて高田ゼミオリジナル。フィールドワークへの興味から入ゼミした押田さんは、制作担当した図鑑について「マップ担当が作った生息地域図をはじめ、その周辺環境や類似の野鳥など、通常の図鑑にはない情報も載せました」。外部関係者へのインタビューも実施し、内容の充実化を図りました。

活動は有効性が認められ、自然保護関係の機関誌にも紹介されましたが、「調査の精度をさらに上げ、いずれ作成資料を自治体や企業に活用してもらえるものにしたい」と加藤さん。そこには「経済成長のために都市開発を優先するのか、中長期的な環境保全を重視して自然を守るのか――。難しい問題だからこそ、より多くの人が意見を出し合い考える必要があると感じています」という強い問題意識があります。

「生物多様性の議論は、今は専門家が中心になっていますが、いずれ私たち市民にまで広がってくるテーマだと考えています」と続ける、元ゼミ長の松田さん。「だからゼミでは、課題解決に向け実施されるべき政策について、多角的なアプローチをかけています」と、企業活動、法律、文化、地域社会、国際、自然科学など幅広い視点から考察しています。

「宇宙規模の視点を持つことで、ゼミ生たちには今後の人生でどのような問題に直面しても対応できるバネを身に付けてほしい」と高田教授。

「高田ゼミしかない」と入ゼミした門脇さんは最後に、研究内容のみならず、AB連携でのゼミ運営、比較的新しい学部ゼミであることからのフットワークの軽さなども含め「最も人間環境学部らしい学びができると思います」と、笑顔で話してくれました。

※1 人間環境学部には1つのゼミに、3年間継続して同一教員から学ぶ「Aゼミ」と1年ごとに参加を更新できる「Bゼミ」が設けられ、複数のゼミに所属することもできる。
※2 Hosei-IBA(Important Bird Area)は、高田ゼミ生が世界共通基準を参考に独自で策定した本学市ケ谷キャンパス周辺における野鳥にとっての重要な生息地域。

(初出:広報誌『法政』2014年度5月号)

「才能あふれるナショナルチーム」(高田教授)のBゼミ。社会・環境問題に幅広い関心を持つメンバーが多く、ゼミへ常に新しい刺激をもたらしている

「才能あふれるナショナルチーム」(高田教授)のBゼミ。社会・環境問題に幅広い関心を持つメンバーが多く、ゼミへ常に新しい刺激をもたらしている

幹事長中心で屋形船での隅田川勉強会などイベントも多彩に実施。「さまざまな活動から得た多角的な視点が『蛍再生プロジェクト』など新たな企画立案にもつながっています」(吉永さん)

幹事長中心で屋形船での隅田川勉強会などイベントも多彩に実施。「さまざまな活動から得た多角的な視点が『蛍再生プロジェクト』など新たな企画立案にもつながっています」(吉永さん)